• 2020.09.09

菅総理の誕生で住宅ローン金利はどうなる?2020年10月の住宅ローン金利動向を予想します

執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
2020年10月住宅ローンの金利予想

こんにちはブロガーの千日太郎です。

新型コロナウイルスの第2波の感染拡大ペースは一服しており、人々の警戒心は薄れてきています。

また、感染者数に対して医療機関の対応範囲内にあり、感染者数に対する市場の反応も鈍くなっています。

そんな中で安倍首相が健康上の理由から辞意を表明し、後任には菅氏が総理大臣となることが濃厚となっています。

安倍政権の承継というカラーが強いこともあり、投資家が材料視する動きは今のところありません。

こうした状況を踏まえて10月の住宅ローン金利動向を予想します。

※当記事の金利や情報は2020年9月6日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認ください。
千日が毎月公開している金利予想の手法は一貫しており、記事の前半で解説していますので、必ず目を通しておいてください。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

千日太郎

オフィス千日合同会社 代表社員

保有資格・検定

公認会計士

大阪で公認会計士を営みながら、オフィス千日合同会社 代表社員として、「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」では金利予想やプロの視点から推奨する住宅ローンの組み方を情報発信。「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名の相談に無料で乗って、そのコンサル内容をネットに公開している。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

住宅ローンの金利予想は調達金利と融資金利の側面から行う

金融機関は調達金利と融資金利の差益によって儲けを得ています。

お金を商品にしていると考えれば、調達金利は商品の原価であり、融資金利は商品の売価です。

金融市場➤(調達金利)➤金融機関➤(融資金利)➤私たち

調調達金利:金融市場から資金を調達するために払う金利
融資金利:私たちに住宅ローンを融資するときに課す金利
➤:お金の流れ
():金利の種類

千日太郎の金利予想は、金融市場の動向から少し先の調達金利を予想し、金融機関の営業方針から融資金利の傾向を推理して予想を出しています。

この方法で金利予想が的中するには、少し先の金融市場がわたしの想定内の動きをし、また、わたしの金融ビジネスに対する理解が的を外していないことが前提となります。

今の新型コロナウイルスの環境下では変化のスピードと振れ幅が大きいので、その点ご了承ください。

調達金利の側面:2020年10月の住宅ローン金利に影響する金融市場の動向

金融機関にとっての調達金利が上がったり下がったりする要因の一つが金融市場の長期金利であり、具体的には10年国債の利回りをいいます。

利回りとは投資した元本に対する成果として得られる利益が年に何パーセントかという割合を言います。

そして、債券の価格と利回りは逆に動くのです(負の相関関係)。

早い話が以下のような法則です。

✓債券の価格が上昇すると利回りが下落する
✓債券の価格が下落すると利回りが上昇する

投資家のセオリーとして、戦争や不況などで世界経済のリスクが上がると値下がりの危険がある株式を売却し、国債などの安全資産を買います。

このため不況時は債券価格が上がり、利回りが下落するのがセオリーです。

感染者数の推移と長期金利の動向

2020年10月住宅ローンの金利予想_1

厚生労働省が公表している単日のPCR検査陽性者数(青の折れ線)と長期金利(オレンジの折れ線)を並べてみました。

長期金利は債券価格によって決まります。

投資家は今後のマーケットの先を読んで売買を行いますので、潜在リスクに対してはより過敏に反応し、それが顕在化した時点ではすでに価格(金利)に反映されているのです。

感染第2波では3月のコロナショックをはるかに超える感染者数が出たのですが、9月には収束してきています。

一方で長期金利は横ばいで長期金利は小さく上がったり下がったりを繰り返しながら、一見すると横ばいなのですが、緩やかな右肩上がりに上昇しています

今後コロナの感染者数が投資家の判断材料となる可能性は低いでしょう。

菅政権と長期金利の動向

8月28日には安倍首相が辞意を正式表明し、9月2日に菅房長官が自民党総裁選への立候補を正式に表明したことで、後任は菅官房長官となる可能性が高くなっています。

このときの長期金利の動向は以下のようになっています。

2020年10月住宅ローンの金利予想_2

安倍首相の辞意表明は28日の昼でしたので、この影響は28日の長期金利に現れているのですが、終わり値は0.056%とここ数か月で最高値となっています。

安倍首相からのトップ交代は投資家にとって材料視されていないということですね。

その後下がっているのは、国債の割安感に着目した投資家が再び買いに転じ、それによって債券価格が上がり、利回りが下がったためです。

後任が菅氏であるということもまた、材料視されていないと見ています。

融資金利の側面:2020年10月の住宅ローンの金利に影響する銀行の営業方針

10月は3月決算の企業にとって下半期の初めの月になります。

9月が中間決算とするとその直後ということです。

決算月ほどには売上を計上するインセンティブが大きくない月と言えます。

ただし、新築物件については新型コロナウイルスの影響で完成時期が遅れているケースがあります。

当初は中間決算である9月に完成を予定していた物件が10月以降にズレ込んでいるケースがあるため、通常の年の10月よりは多い可能性があります。

しかし、もともと完成引き渡しが少ない月であることが前提としてありますので、特に銀行の営業方針として金利を下げるインセンティブは弱めと言えそうです。

金利タイプ別2020年10月の金利予想

では、金利タイプ別に2020年10月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

9月6日までの公開情報を前提とした予想になります。

30年超の超長期固定金利はおおむね横ばい

こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金利の推移を2020年4月から2020年9月までとったものです。

2020年10月住宅ローンの金利予想_3

フラット35の金利は前月の20日前後に決まりますので、その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

フラット35金利は7月から9月にかけて、0.01ポイントずつ連続して上昇しています。

これは、フラット35の原資になる機構債の表面利率が決まるタイミングの長期金利が徐々に上がってきているためです。

このまま上昇が続くか?とも思えますが、長期金利が高くなる=債券価格が下がるということは、その割安感に注目して購入する投資家も増えるはずです。

買い多く入れば債券価格は上昇し、再び長期金利は下がるでしょう。

今後の長期金利が下がるなら、フラット35の金利も下がることになるでしょう。

また新型コロナ感染者数が金利に影響せず、今後も取引材料に乏しい状況が続いており、横ばいもあり得ます。

総合的に考えて10月はおおむね横ばいで推移すると予想しています

なお、民間住宅ローンの30年超の超長期固定金利は、フラット35と似た動きになる傾向が続いています。

そのため、民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利も横ばいと予想しています

20年前後の長期固定金利は横ばい

主要銀行の2020年9月の20年固定金利は主要銀行でも、下げた銀行、横ばいの銀行、上げた銀行に分かれました。

直近では1位を付けているネット銀行は3か月連続で金利を下げています。

ナビナビ住宅ローンの人気ランキングの1位でもありますので、チェックしてみてください。

長期金利としては上昇していますが、その銀行の営業方針によってたまたま最低金利が下がっている状況です。

銀行によって僅差で下がる又は上がるという対応の違いはあるものの、おおむね横ばいで推移してきており、10月もおおむね横ばいで推移すると予想しています

10年前後の中期固定金利は横ばい

6月から9月までの主要銀行の10年固定金利は横ばいで推移しており、横ばいで推移する予想が連続して的中し続けています。

銀行間の金利競争は後述の変動金利にシフトしてきており、10年固定金利は底を打っている感が強く、長期金利の動向とも関係なく横ばいで推移してきています。

また、10月は銀行間の競争面でもクローズアップされる月ではないため、引き続き10月も横ばいで推移すると予想しています。

変動金利は横ばい

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

日本銀行には、今のところ政策金利について新たな政策情報はありません。

また、米連邦準備理事会(FRB)は6月10日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、2022年末までゼロ金利政策を維持する見通しを表明しており、8月27日には、物価上昇率が一時的に目標の2%を超えるのを容認する新たな政策方針を導入しています。

米国が当分の間利上げしない前提とするなら、日本がそれ以前に上げることは考えにくいです。

そのため、しばらくの間は変動金利が上がることは無いと予想しています。

10月の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ~横ばいの予想だが引き続き注意が必要

今回の予想は、軒並み横ばいというものです。

人によってはちょっと面白味が無いなと思われるかもしれません。

それは市場においても同じで、あまり取引の材料となる事象が無いということでもあります。

加えてこの予想はあくまで現時点(9月上旬)に入手可能な公開情報を基礎として千日太郎個人が言っていることにすぎません。

その後の状況の変化によっては大きな動きとなることも十分にあり得ます。

現に安倍首相の辞意表明は寝耳に水でした。ただこれが投資家によって材料視されていないだけです。

大きな変化は、それが市場のルールを変えるようなセンセーショナルなものであればあるほどに、唐突にやってきます。

引き続き、日々の金利動向に目を配っておくことをお勧めします。

今後、住宅ローンの実行までの間に、「どんな事件が起こり、それに金利がどう反応するのか?」を正確に予想することは非常に困難です。

ある程度複数の金利タイプで審査を出しておき、想定外の事態に対する保険としてください。

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