• 2020.07.13

感染第2波のリスクで住宅ローン金利はどうなる?2020年8月の住宅ローン金利動向を予想します

執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)

こんにちはブロガーの千日太郎です。

感染第2波への不安がくすぶる中で経済活動が再開されて2か月がたちました。

東京の新型コロナウイルスの感染者数が連日200人を超えており、再び自粛要請が出るのかに注目が集まっています。

1度目は何とか耐えた企業や自治体もこれが2度目となると、さすがに厳しいという声も聞こえますね。

このリスクが市場の想定を超えたものとなった場合はどうなるのか?
それを予想するのは極めて難しいです。

しかし、8月以降に住宅ローンの実行を控えている人にとって、ある程度は住宅ローンの金利の目安を付けておく必要があります。

この記事では8月の住宅ローン金利動向を予想します。

※当記事の金利や情報は2020年7月12日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認ください。
千日が毎月公開している金利予想の手法は一貫しており、記事の前半で解説していますので、必ず目を通しておいてください。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

千日太郎

オフィス千日合同会社 代表社員

保有資格・検定

公認会計士

大阪で公認会計士を営みながら、オフィス千日合同会社 代表社員として、「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」では金利予想やプロの視点から推奨する住宅ローンの組み方を情報発信。「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名の相談に無料で乗って、そのコンサル内容をネットに公開している。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

住宅ローンの金利予想は調達金利と融資金利の側面から行う

金融機関では、小売店が原価と売価の差益によって儲けを得るように、調達金利と融資金利の差益によって儲けを得ています。

お金を商品にしていると考えれば、調達金利は商品の原価であり、融資金利は商品の売価です。

金融市場➤(調達金利)➤金融機関➤(融資金利)➤私たち
調達金利:金融市場から資金を調達するために払う金利
融資金利:私たちに住宅ローンを融資するときに課す金利
➤:お金の流れ
():金利の種類

千日の金利予想は、金融市場の動向から少し先の調達金利を予想し、金融機関の営業方針から融資金利の傾向を推理して予想を出しています。

この方法で金利予想が的中するには、少し先の金融市場がわたしの想定内の動きをし、また、わたしの金融ビジネスに対する理解が的を外していないことが前提となります。

どちらかにズレがあると、それだけ予想にズレが生じることがありますが、新型コロナウイルスの環境下では変化のスピードと振れ幅が大きいので、その点ご了承ください

調達金利の側面:
2020年8月の住宅ローン金利に影響する金融市場の動向

金融機関にとっての調達金利が上がったり下がったりする要因の一つが金融市場の長期金利であり、具体的には10年国債の利回りをいいます。

利回りとは投資した元本に対する成果として得られる利益が年に何パーセントかという割合を言います。

そして、債券の価格と利回りは逆に動くのです(負の相関関係)。早い話が以下のような法則です。

✓債券の価格が上昇すると利回りが下落する
✓債券の価格が下落すると利回りが上昇する

投資家のセオリーとして、戦争や不況などで世界経済のリスクが上がると値下がりの危険がある株式を売却し、国債などの安全資産を買います。

このため不況時は債券価格が上がり、利回りが下落するのがセオリーです。

コロナショック後の長期金利は割高になっている

2020年8月住宅ローンの金利予想1

長期金利(オレンジの折れ線)と日経平均株価(青の折れ線)がクロスしているポイントがコロナショックです。

住宅ローンにおけるコロナショックは、投資家のリスク回避が行きすぎて安全資産の債券まで売りに走ったために、債券価格が下って長期金利が上がり、住宅ローン金利も上がってしまった現象をいいます。

これは一時的なショック状態であり、すぐに長期金利は下がったのですが、その後もしばらくリスク回避型の投資家に後遺症が残っていて債券を手放しやすくなっており、十分には下がらず今に至っています。

投資家の意識の中にはコロナショックの後遺症が残っていて、まだ債券を安全資産として購入する気になっていないということだと、私は分析しています。

そのため、この不況下においても債券価格が上がらず、金利は下がりきらないのです。

つまり住宅ローンの金利もまた、不況の割には少し高い金利となっていることを意味します。

コロナ禍ではセオリー通りの動きとはならず、住宅ローンを借りる我々にとって逆風となっています。

コロナ対策の国債増発と感染第2波のリスクが金利に与える影響

政府は新型コロナウイルス関連の緊急経済対策のため、7月から国債を増発しています。

また、日銀は7月のオペ計画で国債の1回あたり購入予定額を6月よりも増やしました。

通常、日銀が国債の購入を増額すれば、国債の需給が引き締まって債券価格が上昇し、債券の利回り(長期金利)は下がるのがセオリーです。

しかし日銀による国債の購入増額は、政府の国債増発額に比べて小さいと見なされ、セオリーどおりにならず債券が売られ、一時的に金利は上昇しました。

このことから、市場関係者の間では、日銀はある程度の金利上昇を容認するのだと受け止められています。

その後、感染第2波への懸念から再び長期金利は下がり、今の長期金利はコロナ前と変わらない水準で推移しています。

このまま国債増発の金利上昇要素と、感染第2波の金利下降要素が相殺され、もみ合いが続いて長期金利は横ばいで推移していくのではないかと予想しています。

融資金利の側面:
2020年8月の住宅ローンの金利に影響する銀行の営業方針

8月は1年の中でも完成物件が少なく、市場全体のパイ自体が小さいので、特に顧客獲得ということで低金利を打ち出すインセンティブの少ない月です。

ただし、8月は9月の中間決算の直前月であるため、その時期に引き渡しの人を取り込むためには不用意に金利を上げることはしないと考えられます。

需要期でない6月から7月にかけての住宅ローンの金利推移(下記記事ご参照)では、リアルの大手銀行で金利を上げたケースが散見されました。

これは決算月の来年3月に向けて金利を下げていき、低金利をアピールするためいったん上げたとも考えられます。

そのため月末にかけて長期金利が上昇傾向で推移すれば、さらに金利を上げる大義名分となりえます。

しかし月末にかけて、千日太郎の予想のとおり横ばいで推移するとすれば、6月から7月にかけて住宅ローン金利を上げたリアルの大手銀行は金利を上げにくいでしょうね。

金利タイプ別2020年8月の金利予想

では、金利タイプ別に2020年8月の金利がどうなっていくのか予想していきます。

7月12日までの公開情報を前提とした予想になります。

30年超の超長期固定金利は不安定ながら横ばい

こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金利の推移を2020年2月から2020年7月までとったものです。

2020年8月住宅ローンの金利予想2

フラット35の金利は前月の20日前後に決まりますので、その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

コロナショックの乱高下はありながら、直近4月から7月のフラット35の金利はおおむね1.3%前後で推移しています。

フラット35の原資になる機構債の表面利率が決まるタイミングの長期金利が0%から0.02%であったということもありますが、今後の長期金利が予想の通り横ばいで推移するなら、フラット35の金利も横ばいで推移しそうですね。

目下コロナ以外の取引材料が無く、ちょっとしたことで変動する不安定な状況にありますが、今後何もなければ8月もおおむね横ばいで推移すると予想しています

なお、民間住宅ローンの30年超の超長期固定金利は、このフラット35と似た動きになる傾向がありますので、フラット35の金利が横ばいとなった場合は民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利も横ばいとなる可能性が高いです。

20年前後の長期固定金利は横ばい

主要銀行の2020年7月の20年固定金利は6月から約0.05ポイント上がりましたが、最低金利は1%をわずかに下回る水準で推移しています。

前述の銀行の営業方針として積極的に低金利を打ち出すタイミングではありませんので、おおむね今の水準を維持する方向で推移しそうです。

最低金利を争うような展開にはなりにくいとみています。

10年前後の中期固定金利は横ばい

6月から7月にかけての主要銀行の10年固定金利は横ばいで推移し、よほどマーケットの長期金利に大きな上昇が無い限りは横ばいで推移するという予想が的中しました。

基本的に主要銀行の10年固定金利は限界まで下がりきっている状態で、これ以上に下げると銀行が向こう10年間は最低限の利益を取れない状態になっています。

加えて銀行間の金利競争は後述の変動金利にシフトしてきていますので、引き続き横ばいで推移すると予想しています

変動金利は横ばい

変動金利は、長期金利ではなく中央銀行の政策金利に影響を受けます。

政策金利とは、中央銀行が民間銀行に融資するときの金利です。

景気後退時には政策金利を下げ、好景気時には政策金利を上げます。

今はコロナ禍で景気後退時です。

日本の政策金利はすでにマイナス0.1%でこれ以上下げられないため横ばいなのですが、6月から7月にかけてネット銀行を中心として金利をさらに下げる動きがありました。

トップのジャパンネット銀行が7月の変動金利を0.399%から0.38%に下げ、住信SBIネット銀行とSBIマネープラザは借り換えを対象に金利を0.398%に引き下げました。

SBIグループの金利引き下げは最低金利のジャパンネット銀行の0.399%を出し抜こうとしたものと思われますが、時を同じくしてジャパンネット銀行が金利を下げたため、SBIグループが変動金利の最低金利に向けて伸ばした手は虚しくも空を切ったのですね。

これらネット銀行が変動金利を引き下げた背景には、米国の中央銀行であるFRBが2022年末までは今のゼロ金利政策を継続するという声明を発表したことがあると思われます。

米国の政策金利と日本の変動金利の間には直接の因果関係はありません。

しかし、「米国が2022年まで利上げしないなら、日本がそれ以前に上げることは考えられない」という流れで変動金利を勧めやすいという面があります。

一方で変動金利は6か月ごとの金利見直しで銀行が独自の判断で金利を上げることができます。

低金利が続くという建前のもとで、随時に金利を上げられる変動金利タイプに利用者を集めているという穿った見方もできるのです。

いずれにせよ、しばらくの間は変動金利が上がることは無いと考えられます。

8月の変動金利は横ばいで推移するでしょう。

まとめ~感染第2波と住宅ローン金利動向

この記事では執筆時点(7月上旬)に入手可能な公開情報を基礎として予想を立てていますので、その後の状況の変化によって金利動向が変化することは十分にあり得ます。

また最近では東京での感染者数が連日200人を超えており感染第2波に対する懸念は日に日に大きくなっています。

市場の想定を超えるリスクが意識された場合に金利がどのように動くのか?その予想は極めて困難です。

引き続き、日々の金利動向に目を配っておくことをお勧めします。

今後、住宅ローンの実行までの間に、「どんな事件が起こり、それに金利がどう反応するのか?」を正確に予想することは非常に困難です。

ある程度複数の金利タイプで審査を出しておき、想定外の事態に対する保険としてください。

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