• 2020.07.03

コロナ緊急事態宣言による金利への影響は?2020年5月の住宅ローン金利動向を予想します

執筆者: 千日太郎 (オフィス千日合同会社 代表社員)
黄色と緑と黄緑のブロックと家の模型

こんにちはブロガーの千日太郎です。

新型コロナウイルスの感染拡大リスクから、4月7日には安倍首相が緊急事態宣言を発令し、感染拡大の抑制が期待されています。

しかし諸外国がもっと早くからより強力なロックダウンに踏み切ったにもかかわらず、感染爆発した例を見ると全く油断はできません。

金融市場の長期金利は将来予想を織り込んで瞬時に下落または上昇します。今のところは感染拡大が抑えられているとの認識で安定していますが、先行きへの不安が行きすぎると、イレギュラーに動く可能性もあります。

加えて住宅ローン金利については金融機関の思惑も絡んできますので、必ずしも長期金利と連動するとは限りません。

今日はこれらを総合的に勘案し、公認会計士の視点から2020年5月の住宅ローン金利動向を予想します。

※当記事の金利や情報は2020年4月12日時点のものを記載しております。
最新の金利情報は、必ず金融機関の公式サイトをご確認ください。
千日が毎月公開している金利予想の手法は一貫しており、記事の前半で解説していますので、必ず目を通しておいてください。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

千日太郎

オフィス千日合同会社 代表社員

保有資格・検定

公認会計士

大阪で公認会計士を営みながら、オフィス千日合同会社 代表社員として、「千日のブログ 家と住宅ローンのはてな?に答える」では金利予想やプロの視点から推奨する住宅ローンの組み方を情報発信。「千日の住宅ローン無料相談ドットコム」では一般の人からの匿名の相談に無料で乗って、そのコンサル内容をネットに公開している。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

住宅ローンの金利予想は調達金利と融資金利の側面から行う

金融機関では、小売店が原価と売価の差益によって儲けを得るように、調達金利と融資金利の差益によって儲けを得ています。

お金を商品にしていると考えれば、調達金利は商品の原価であり、融資金利は商品の売価です。

金融市場➤(調達金利)➤金融機関➤(融資金利)➤私たち
調達金利:金融市場から資金を調達するために払う金利
融資金利:私たちに住宅ローンを融資するときに課す金利
➤:お金の流れ
():金利の種類

千日の金利予想は、金融市場の動向から少し先の調達金利を予想し、金融機関の営業方針から融資金利の傾向を推理して予想を出しています。

今のところ金利予想が的中しているのは、少し先の金融市場がわたしの想定内の動きをし、また、わたしの金融ビジネスに対する理解が大きく的を外していないためです。

どちらかにズレがあると、それだけ予想にズレが生じることがあります。

調達金利の側面:2020年5月の住宅ローン金利に影響する金融市場の動向

金融機関にとっての調達金利が上がったり下がったりする要因の一つが金融市場の長期金利であり、具体的には10年国債の利回りをいいます。

利回りとは投資した元本に対する成果として得られる利益が年に何パーセントかという割合を言います。

そして、債券の価格と利回りは逆に動くのです(負の相関関係)。早い話が以下のような法則です。

✓債券の価格が上昇すると利回りが下落する
✓債券の価格が下落すると利回りが上昇する

投資家のセオリーとして、戦争や不況などで世界経済のリスクが上がると値下がりの危険がある株式を売却し、国債などの安全資産を買います。このため不況時は債券価格が上がり、利回りが下落するのが普通なのです。

リーマンショックとは次元の異なる新型コロナウイルスの脅威

しかし、コロナショックの局面においては従来のセオリーから外れているのですよ。株価が下がり、債券価格も下がっているのです。

何が起こっているのかわかりやすいように、日経平均株価と長期金利の推移を並べてグラフにしてみました。

2020年4月長期金利と日経平均株価の推移

2020年3月7日あたりまでは株価が下がると同じように長期金利が下がっています(債券価格は上がっていた)が、長期金利が最低の-0.2%となった直後から、株価の下落とは逆方向に長期金利が上昇(債券価格が下落)しています。

つまり投資家たちが「株を売り日本国債も売っている」ということなのですね。

リスクへの反応が大きすぎる、ないしはリスクそのものが大きすぎるため、従来のセオリーから外れた動きになっているのです。

新型コロナウイルスの脅威はこれまでの戦争などの局所的なリスクを超えたところにある、人類として直面している脅威といっても過言ではありません。国債すらも危ないと考えて手放す人がいるというのはそういうことなのですよね。

今後どれだけ不況が続くかは不透明ですが、現時点における新型コロナウイルスによるリスクは過去のリーマンショックとは次元の異なる一大事であると認識すべきです。

これから住宅ローンという人生最大級のプロジェクトを控えているのですから、金利動向以前に自分や家族が感染しないということが最優先です。

緊急事態宣言からの感染者の増加ペースに注目

今回のコロナショックは新型コロナウイルスのパンデミックリスクですから、感染リスクが市場にどう受け止められるか?がポイントになります。

上のグラフによると4月に入ってからは株価と長期金利の連動が回復してきているように見えます。

ポイントは4月7日に発令された非常事態宣言です。長期金利が落ち着きを取り戻し、セオリー通りに推移しているのは、感染拡大が抑えられアメリカやヨーロッパのような感染爆発や医療崩壊が回避されるという期待があるためです。

感染者数が想定の範囲内に収まっているうちは、長期金利は0%前後で安定して推移するでしょう。

しかし、感染者数が急激に増加し期待が裏切られたときには、再び前述のようなイレギュラーな動きをする可能性があります。

融資金利の側面:2020年5月の住宅ローンの金利に影響する銀行の営業方針

4月7日に発令された非常事態宣言では、今のところ5月6日までという期限が切られています。

それに対して、5月の住宅ローンの金利を決定するのは4月末あたりです。

つまり、銀行が住宅ローンの金利を決める時点においては非常事態宣言の効果は未だ正式に下されていない状況下での決定になるということです。

一番の勘所となる、意思決定の材料が不足している状況です。 また、非常事態宣言のもとで引っ越しをするという人も少ないですよね。当たり前です。

そのため、引き渡し=住宅ローンの実行件数もかなり少ないですので、金利を上げても下げても銀行の損益に与える影響が少ないと言えます。

金利を上げたらこの非常時に金利を上げるなんて!と反感を買ううえに、融資の実行も少ないので利益面のメリットも少ないです。

金利を下げても、これから家を買おうという人は減るでしょうから、それほどアピールにはなりません。

こうしたことから、他の事情がない限りは4月から5月にかけて金利を変える積極的なインセンティブが無いと考えられます。

金利タイプ別2020年5月の金利予想

では、金利タイプ別に2020年5月の金利がどうなっていくのか予想していきます。4月12日までの公開情報を前提とした予想になります。

30年超の超長期固定金利は横ばい

こちらは、30年超の超長期固定金利の代表であるフラット35(買取型)の金利と長期金利の推移を2019年11月から2020年4月までとったものです。

フラット35(買取型)と長期金利2020年4月

フラット35の金利は前月の20日前後に決まりますので、その時点に青い棒グラフのフラット35(買取型)金利を立てています。

4月に入ってからの長期金利は-0.01%~0.03%で推移しています。
これに対応するフラット35の金利(左の軸)は、おおむね1.29%~1.33%位となっています。

4月のフラット35金利1.30%が決まったときの長期金利は0.02%であったことを鑑みると、今の水準のまま4月20日ごろに機構債の表面利率が発表されれば、5月のフラット35金利はおおむね横ばいとなりそうですね。

民間住宅ローンの30年超の超長期固定金利は、このフラット35と似た動きになる傾向がありますので、フラット35の金利が横ばいとなった場合は民間住宅ローンの30年以上の超長期固定金利も横ばいとなる可能性が高いです。

20年前後の長期固定金利は横ばい

3月から4月にかけてフラット35の金利と民間の超長期固定金利が金利を上げたのに対し、20年固定は金利を下げた又は横ばいとした金融機関が多かったため、5月にはさらに下がってほしいなという期待はあります。

ただし、前述のとおり5月は民間銀行にとって金利を下げるインセンティブの少ない月ですので、長期金利がよほどの低金利にならない限り横ばいと予想しています。

10年前後の中期固定金利は横ばい

これまで主要銀行の住宅ローンは10年固定をメインとして価格競争の様相を呈してきました。

そのため、10年固定は限界まで下がりきっている状態で、これ以上に下げると銀行が最低限の利益を取れない状態になってきます。

それを裏付けるかのように10年固定金利の最低金利は2月から4月にかけて横ばいの0.55%となっています。

3月から4月にかけては、2位以下であった多くのネット銀行やメガバンクが金利を下げており、2020年4月適用の10年固定金利では同率一位で、auじぶん銀行(当初期間引下げプラン)、ソニー銀行三菱UFJ銀行三井住友信託銀行の4つが0.55%で横一線に並んでいます。

今後下がる期待が全く持てないわけでもありません。

ただし、前述のとおり5月は金融機関があえて低金利をアピールする必要性が少ない月ですので、基本的な予想は横ばいです。

変動金利は横ばい

変動金利は日銀の政策金利の影響を受けますので、黒田総裁が政策金利を上げれば、変動金利が上がり、黒田総裁が政策金利を下げれば全ての銀行で一斉に変動金利が下がるのがセオリーです。

こちらは、2008年リーマンショックから2020年4月までの政策金利と変動金利の基準となる短期プライムレート(短プラ)の推移を表しています。

短期政策金利と短プラ2020年4月

リーマンショック以後、日銀は景気を上向かせるために政策金利を下げることで、短プラを低い水準に抑えてきました。

これは、金融機関が貸し出す金利を低金利に誘導することで、民間企業の設備投資を促し、景気を上向かせようとする金融緩和政策です。

これまで日銀の黒田総裁はしばしば「マイナス金利の深堀り」を示唆してきましたので今後さらに政策金利を下げる可能性はゼロではありません。

ということは、「日銀がマイナス金利政策の深堀りを実行に移せばさらに変動金利が下がる?」と思われるかもしれませんが、それほど単純にはいきません。

すでに変動金利はこれ以上下げられないほどの低金利になっているからです。

しかし日銀が政策金利をマイナス0.1%にまで下げても短プラはまったく下がらず今に至っています。

つまり、政策金利の影響を受ける変動金利は、今の水準が底でありこれ以上は下げられない水準まで下がっているという状況なのです。

住宅ローンの変動金利については、日銀の黒田総裁がマイナス金利政策を深堀りしようがしまいが、もうこれ以上は下がらないでしょう。

まとめ~新型コロナウイルス環境下で住宅ローンを借りる際のポイント

新型コロナウイルスの影響は世界経済に波及しています。短期的に金利が上がる要素は見つかりません。

しかし、ここで書いた金利予想は一定の仮定に基づく予想ポリシーに従って導き出した千日個人の予想であり、実際の金利の動きとは異なってくる可能性は大いにあります。

そして3月には現実にセオリーから外れた金利の動きが見られました

ある程度複数の金利タイプで審査を出しておき、想定外の事態に対する保険としてください。

これまで予想を大きく外したことはありませんが、予想は予想です。

今後、住宅ローンの実行までの間に、「どんな事件が起こり、それに金利がどう反応するのか?」を正確に予想することは非常に困難です。

金利の動向も大事ですが、今の新型コロナウイルスのリスク下ではわたしたち一人ひとりが感染しないようにすることの方が優先ですよね。

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