• 2020.09.02

住宅ローンの本審査と事前審査の違いは?落ちるポイントを知って対策しよう

執筆者: 政所温也 (株式会社Choices 代表取締役)
  • 本審査では「本当に住宅ローンを貸しても大丈夫なのか」を厳しくチェックされる
  • 事前審査の申告内容と違いを生まないように注意する
  • 本審査に落ちる理由は大きく5つに分けられる

「住宅ローンの本審査にちゃんと通るのかな……」と不安になり、情報収集している方もいらっしゃるかと思います。

結論から言ってしまうと、事前審査と本審査では基準が異なるため、事前審査に通過しても本審査で落ちてしまう可能性はあります

とはいえ、住宅ローンの本審査に落ちてしまう理由は大きく5つに分けられるので、これからお伝えするポイントさえ押さえておけば、必要以上に不安になる必要はありません

本審査に不安がある方は、ぜひ参考になさってください。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

政所温也

株式会社Choices 代表取締役

保有資格・検定

2級ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士、損害保険募集人、損保自動車専門試験合格

2010年にファイナンシャルプランナー(FP)として独立し活動中。過去に大手金融ニュースメディアや損保公式サイトでも執筆活動を行った実績があり、「読みやすく理解しやすいライティング」を得意としている。2020年9月現在で、1,700記事以上の執筆実績がある。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

住宅ローンの本審査と事前審査の違い

住宅ローンの事前審査は、自己申告の内容をベースにして「本審査を受ける基準をクリアしているか」を簡易的にチェックするものでした。

それに対して、住宅ローンの本審査では「本当に住宅ローンを貸しても大丈夫なのか」という観点から、源泉徴収票や住民税決定通知書といった書類を確認しながら、複数の審査項目に対して厳しくチェックされます

本審査の審査項目は非常に多く、金融機関や住宅ローンの種類によっても基準が異なります。

本審査の審査項目と一般的な評価基準

住宅ローンの本審査で、多くの金融機関が見ている項目の上位5つは以下の通りです。

本審査でチェックされる項目TOP5

  1. 健康状態
  2. 借入時の年齢
  3. 完済時の年齢
  4. 担保評価
  5. 勤続年数

※金融機関によって詳細な審査基準は異なります。
※審査項目の出典:「平成30年度民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書」(国土交通省)より、P18「融資を行う際に考慮する項目」

人物に対する評価基準

「年齢」に関わる2項目は事前審査の時点でチェックされていて、「担保評価」はかんたんに物件を変えるのは難しいですよね。

そのため、実質的に注意したいのは「健康状態」と「勤続年数」でしょう

詳しい対策は記事の後半で解説していますが、健康状態に不安がある場合はワイド団信を利用する直近で転職した場合は勤続年数に条件が含まない住宅ローンを利用するなどの対策が必要です。

ここでは国土交通省の調査を元に、多くの金融機関が重視する審査項目と一般的な審査基準を表にまとめました。

人物に対する評価基準

審査項目 一般的な審査基準
健康状態 ・指定の団体信用生命保険へ加入できる健康状態かどうか
・提携保証会社の審査に通る健康状態かどうか
借入時の年齢 ・65歳~75歳未満
完済時の年齢 ・80歳未満
勤続年数 ・勤続年数:3か月~3年以上
※勤続年数を問わない金融機関もある
年収 ・100万円~200万円以上
連帯保証 ・連帯保証人の有無
※近年では提携保証会社の保証を受けることが必須条件で、連帯保証人を設定していなくても借入れできるケースが多い
返済負担率 ・25%~35%
※年収により異なる
融資可能額・融資率(住宅購入の場合) ・融資率90%までとする金融機関が多い
・近年では融資率100%のフルローンが可能な住宅ローンもある
雇用形態、業種など ・個人事業主や中小企業の経営者は審査が不利になる
※フラット35の場合、職業が審査に影響することはない
個人信用情報 ・個人信用情報に事故歴や滞納歴はないか、他の借り入れ状況はどうなっているのか
※事故歴などがなくても、クレジットカードのキャッシングや消費者金融の借入れがあると審査が不利になる

主に注意するべきは「健康状態」と「勤続年数」ですが、金融機関によっては「個人信用情報」の確認を本審査のみで行っている場合もあります

個人信用情報は事前審査・本審査問わず、常にクリーンな状態を維持しておくのが無難でしょう。

物件に対する評価基準

審査項目 一般的な審査基準
物件の担保評価 ・住宅ローンの借入金額に見合った担保評価があるか

住宅ローンの借入金額に対して、担保評価が著しく低い場合は、金融機関にとっては貸し倒れのリスクに繋がります。

物件に対する評価方法は金融機関によって大きく異なりますが、「築年数が古すぎる中古住宅」「特殊な建築条件の住宅」「市道に面している住宅」などは、担保評価が低くなりがちです

本審査から契約完了までの流れ

①本審査の申し込み

WEB上や郵送にて本審査に申し込みます。
審査の結果が分かるまでの期間は、3日~3週間ほど。

②契約手続き

不動産会社と相談し、引き渡し日等を決定します。
金融機関に対して借入希望日や金額、金利タイプなど最終的な契約内容を伝えます。

③司法書士との面談

金融機関の指定した司法書士と面談を行います。
日時や面談場所は事前に相談して決めておきます。

④契約完了

借入日の当日に、書類や手続き内容に問題がないかを確認します。
金融機関への振り込み完了後に売買が成立し、抵当権を設定後に契約成立となります。

※参考:auじぶん銀行住宅ローン「新規お借入れまでの流れ」

対面型住宅ローンの場合、②と③はどちらも対面で行います。日程の調整がスムーズにいけば、1週間~2週間程度で融資実行まで終えることができるでしょう。

ネット完結型の場合、②の契約手続きは自宅で行い、③の司法書士との面談は対面になるのが一般的です。こちらは面談がスムーズにいけば、1週間で融資実行を終えることもあります。

ただし、どちらの方法でも融資実行までの期間はケースバイケースです。

あらかじめ金融機関にスケジュールを確認した上で、スムーズに融資実行を終えられるように段取りしておきましょう。

【不安解消】住宅ローンの本審査に落ちる5つの原因

住宅ローンの事前審査に通過していても、本審査で落ちてしまう方は一定数います。事前審査と本審査では審査基準が異なる以上、結果が変わってしまう可能性も低くはないのです。

しかし、実は本審査で落ちてしまうケースのほとんどは以下5つのどれかが原因です

本審査に落ちる5つの原因

  1. 提出書類書類の不備
  2. 事前審査と本審査で伝えた内容が違う
  3. 持病などで健康状態に問題がある
  4. 年収に対する返済負担率が高い
  5. 担保評価が低い

そのため、これからお伝えする「本審査に落ちやすい原因」を把握しておけば、適切な対策を取った上で安心して本審査に申込むことができます

各原因と対策について、わかりやすく解説していきますね。

原因1:提出書類の不備

住宅ローンの本審査では、多くの書類を提出しなければいけません。

その中で記載内容に間違いがあったり、提出書類が遅くしていたりと、書類の不備が続けば、審査に落ちやすくなるため要注意です

また、ネット専用住宅ローンの場合は書類に不備があるたびに、書類の郵送やWEB入力を繰り返さなければならないため、二重三重に手間がかかってしまいます。

審査する側から見ても「不備がある=ルーズな方」という印象をもたれて、審査の目が厳しくなってしまうため、書類の不備は極力なくすように努めましょう。

対策:提出前のダブルチェックを徹底

書類の不備を防ぐためには、金融機関から受け取る提出書類のチェックシートを見ながらダブルチェックを徹底しましょう。

チェックの際は、用意した書類に不足はないか、記入内容に間違いや漏れはないか、細かく確認することが大切です

特に収入関連書類は、「納税証明書」「所得証明書」など似たような名前の書類が複数あるため、混同しがちです。

チェックシート記載の書類名称と様式をしっかり確認し、間違えないように気をつけてくださいね。

原因2:事前審査と本審査で伝えた内容が違う

事前審査で申告していた内容と、本審査での申告内容が異なっている場合、住宅ローンの本審査で落ちやすくなります。

また、申告内容と提出書類の内容が一致しない場合でも同様です。

特に気をつけたいのが、融資実行までに他の借入れをするなど、申告内容を変えてしまうような行動です

故意でなかったとしても、情報が違えば虚偽申告と思われる可能性があるので注意しましょう。

対策:融資実行までは他の借入を行わない

住宅ローンの融資が実行されるまでは、他の借入れをしたり、転職をしたりと言った行為は避けましょう

審査時に申告していた内容と、最新の状況が変わってしまうため、審査に落ちる可能性が生まれてしまいます。

本審査から融資実行まで、1か月~1か月半ほどかかります。その間は余計なことはせず、申告内容が変わらないように気をつけてください。

原因3:持病などで健康状態に問題がある

健康状態に問題があることが理由で、住宅ローンの本審査に落ちてしまうケースもあります。

健康状態が悪ければ団体信用生命保険(以下、団信)に加入することができず、保証会社の保障を受けることができません。

団信への加入は住宅ローン契約の必須条件のため、結果的に住宅ローンの本審査に落ちてしまうのです

団信の加入審査では、過去5年以内の病歴や持病について聞かれます。
5年以内にがんなどの大病を患っている場合や、直近で手術や入院歴がある場合は、一般団信の加入は難しいと考えておくほうが良いでしょう。

また、記事前半で紹介した国土交通省の調査結果にも記載されていたように、「健康状態」は多くの金融機関で重視されている審査項目です。

対策:ワイド団信やフラット35を検討する

健康に不安がある方は、「ワイド団信」や「フラット35」を利用するという方法があります。

ワイド団信は健康状態に対する引受基準が緩和されている団信で、持病や病歴がある方でも入りやすくなっています

ワイド団信と一般団信の違い

利用するには金利に年0.2%~0.3%ほどの上乗せが必要にはなりますが、健康状態が理由で団信の審査に落ちてしまった方は前向きに検討してみましょう。

また、ワイド団信の金利が気になる方はフラット35を利用するという方法もあります。

フラット35では団信の加入が任意になっているため、団信なしで住宅ローンを申し込むことも可能です

フラット35と民間の住宅ローンの比較

団信の審査がないと、健康状態を問われることがないので、安心して本審査を申し込むことができますよね。

ただし当然ながら、その分保障面でリスクを背負うことにもなります

団信なしでフラット35を申し込む場合は、健康状態がよくなってから一般の生命保険に加入し、違う形で保障をそなえておくと安心ですよ。

原因4:年収に対する返済負担率が高い

返済負担率とは、年収に対する返済額割合のことを指します。

事前審査でも本審査でも、返済負担率が高い場合は審査に落ちやすくなります

金融機関で返済負担率の上限を公表しているところは少ないのですが、だいたい25%~35%以下に抑えるのが理想とされています

返済負担率が申し込み要件ギリギリの状態で、しかも他に借入れがある場合は特に審査が厳しくなるので注意しましょう。

返済負担率の図

無理なく返済していくためにも、返済負担率は低いほうが安心です。

心配な方は、借入金額を見直すなどして、返済負担率を抑えるようにしましょう。

対策:借入金額を見直す、他の借入れを完済させる

返済負担率を抑えるための方法として、手軽なのが「ローンの返済額を調整すること」です。

具体的には以下の方法がおすすめです。

住宅ローン返済額の調整方法

  1. 頭金を多くして借入金額を減らす
  2. 他の借入れを完済させる

いずれも住宅ローンのシミュレーションを行うことで可能な対策なので、ご自身の返済プランと併せて慎重に検討しておきましょう。

住宅ローンは非常に大きな金額を扱う借入契約です。慎重に借入金額を検討した上で、安心して返済できるプランに設定するようになさってください。

原因5:担保評価が低い

担保評価が下がると審査は通りづらくなる

住宅ローンの融資希望額に対して、物件の担保評価が低い場合にも本審査に落ちやすくなります。

担保評価は金融機関によって基準がばらばらですが、築年数が古い住宅や、特殊な条件で建てられている住宅などは、どんな金融機関でも評価は低くなってしまいます

とはいえ、物件の条件を変えて担保評価を上げるというような対策は現実的ではないですよね。

担保評価が気になる場合は、いっそのこと審査に通りやすい物件に選びなおすという方法もありますよ。

対策:審査に通りやすい物件を選ぶのもひとつの手段

審査に通りやすいのは、新築の戸建て物件やマンションで金融機関の提携ローンが用意されている物件です

提携ローンとは金融機関が不動産会社と提携し提供する「専用の住宅ローンプラン」のことで、既に担保評価の基準をクリアしている物件が取り扱われています。

担保評価を変えるのは難しいですが、審査に通りやすい物件を選べば、担保評価で悩むことはありません。

したがって、地元の不動産会社やハウスメーカーで、提携ローン可能な物件を確認してみるのも良いでしょう。

住宅ローンの本審査に必要な書類

ここでは住宅ローンの本審査をスムーズに進めるために、審査時に必要な書類について解説していきます。

非常に多くの種類がありますが、大きくは以下の2つに分類できます。

本審査に必要な書類

ただし、住宅ローンの対象が戸建てなのか、マンションなのかによって必要書類は異なります。

ここでは一般的に必要とされる書類を物件別にまとめたので、参考になさってください。

※金融機関や利用者の状況によって、詳細な必要書類は異なります。

申込者本人に関する書類

本人確認書類
必要書類 土地付き戸建て物件 マンション
【原本】運転免許証、パスポート、個人番号カードなど
※ネット完結型の場合はコピーで可
【原本】健康保険証
【原本】住民票の写し
【給与所得者の場合】収入関連書類
必要書類 土地付き戸建て物件 マンション
【原本】直近の源泉徴収票
【原本】直近の住民税決定通知書
【原本】(給与所得者で確定申告している場合)
直近の確定申告書や所得証明書
【個人事業主の場合】収入関連書類
必要書類 土地付き戸建て物件 マンション
【原本】直近の納税証明書2~3年分
【コピー】直近の確定申告書2~3年分

物件や住宅ローンに関する書類

住宅ローンの申込関連書類
必要書類 土地付き戸建て物件 マンション
【原本】住宅ローン借入申込書(兼・保証会社委託申込書)
【原本】個人情報取扱い同意書
【原本】団体信用生命保険申込書兼告知書
物件関連書類
必要書類 土地付き戸建て物件 マンション
【原本】不動産登記簿謄本
【原本】公図 ※コピーで可の場合もある
【コピー】住宅地図、物件案内図
【コピー】地積測量図
【コピー】建物平面図
【コピー】建物配置図
【コピー】建築確認済証
【コピー】不動産の売買契約書
【コピー】不動産の重要事項説明書

提出書類は余裕をもって準備しておこう

住宅ローンの本審査に必要な書類は、事前審査の段階で準備しておくのが無難です

なぜかというと、本審査の必要書類は非常に数が多く、事前審査後からだと慌てて用意することになる可能性が高いからです。

特に収入関連の書類については、事前審査で収入を間違いなく記載するためにもあったほうが良いでしょう。

毎年12月の年末調整時期にもらえる源泉徴収票や、2月~3月の確定申告書控えは、自宅に保管している方がほとんどだと思います。

事前審査の段階でこれらの書類を手元に準備しておき、書類を見ながら申込書を記載すれば、誤記載を防ぐことができますよ。

住宅ローンの本審査に落ちてしまったら

住宅ローンの本審査に落ちた場合、「早く他で申し込まないと!」とすごく焦りますよね。せっかくお目当ての物件を見つけたのに、ローンが組めないと焦る気持ちはよくわかります。

しかし、焦って手当たり次第に他の金融機関へ申し込むのは危険です

なぜなら、金融機関の審査であなたの個人信用情報が照会されるたび、情報開示履歴が残ってしまうからです。

情報開示履歴が残る

たとえば、A銀行で審査に落ち、その次にB銀行へ申し込みをしたら、B銀行には「A銀行が個人信用情報を見た」という履歴がわかるということですね。

したがって審査を担当する側からすれば、「他の銀行で落ちたから、うちに申込んだのかな」という印象をもってしまうわけですね。他の金融機関で何度も審査に落ちている履歴が残れば残るほど、審査で不利になります。

住宅ローンの申し込みを複数の金融機関にしてはいけない、という決まりはありません。

しかしながら、次に必ず審査に通るためにも、手当たり次第申し込む行為は避けるのが賢明です。

本審査に落ちた場合は、まず当記事を読み返して原因を把握しましょう。

原因に対して適切な対策を取り、そのうえでご自身の状況にあった審査基準の金融機関を探すことが大切ですよ。

まとめ

住宅ローンの事前審査と本審査は、どちらもローンを借りるための重要なステップです。

事前審査の時点ですでにチェックが始まっていますので、しっかり準備して申込むようにしてくださいね。

当記事のポイントをまとめると、以下の通りです。

住宅ローンの本審査についてまとめ

  1. 本審査では「本当に住宅ローンを貸しても大丈夫なのか」を厳しくチェックされる
  2. 事前審査の申告内容と違いを生まないように注意する
  3. 本審査に落ちる理由は大きく5つに分けられる
  4. 提出書類は余裕をもって準備する

ご紹介したポイントを参考にしつつ、本審査に臨みましょう。

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