住宅ローンの借り換えは本当に効果的?お得になる人/ならない人

住宅ローンの借り換え
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

住宅ローンの借り換えは家計への負担を大きく減らせる可能性があります。

例えば、平成29年8月現在のフラット35の最低金利(融資率9割以下)は1.120%で、平成22年8月の最低金利2.230%と比較すると、1%以上下がっています。これだけの金利差があると、借り換えにより利息負担額を減らせる可能性があります。

いったいどれほど借り換えの効果があるのか、借り換えをするためにはどうすればいいのかなど、借り換えについて解説していきます。

まずは住宅ローンの借り換えについて知ろう!

住宅ローンの借り換えは、今の借入先から新しい借入先に変更することを指します。仮に、住宅購入時にA銀行から借り入れ、B銀行への借り換えを検討していて、今も2,000万円の残高があるとします。

住宅ローンの借り換えは、B銀行から2,000万円を借り入れA銀行に返済し、以降はB銀行に返済することをいいます。借り換えを行うメリットは、利息負担額の軽減です。それではもう少し住宅ローンの借り換えについて見ていきましょう。

借り換えでお得になる人・ならない人はこんな人

住宅ローンの借り換えは誰にでもメリットがあるわけではありません。借り換えによる効果が得られるかどうかは、新しい借入先に計算してもらう必要がありますが、ここでは借り換えで得になる人、ならない人の目安をお伝えいたします。

借り換えでお得になる人

借り換えで効果が得られる人は次のような場合です。

  • 住宅ローン残高が1,000万円以上残っている
  • 現在の借入先と新しい借入先との金利差が1%ある
  • 返済期間が10年以上残っている

それぞれについて具体的に見ていきましょう。 

住宅ローン借入額が1,000万円以上残っている

住宅ローンの借り換えは、ある程度の借入額が残っていないと効果が出ません。どの程度効果があるかは、金利差や残りの返済期間にもよります。

現在の借入先と新しい借入先との金利差が1%ある

借り換えを行う理由は、利息負担額を減らすために、より低い金利で借りることにあります。その金利差があればあるほど効果が高くなりますが、一般的には最低1%は必要と言われています。

返済期間が10年以上残っている

返済期間が長ければ長いほど、住宅ローンに対する利息額が増えます。ある程度の利息負担額がなければ効果が薄くなりますので、一般的には返済期間がまだ10年以上残っていることが条件となります。

借り換えでお得にならない人

一方、借り換えをしても効果がない人は次のような場合です。

  • 上記の3つの条件を満たしていない
  • 借り換えのための資金が不足している

それぞれについて具体的に見ていきましょう。

上記の3つの条件を満たしていない

必ず効果が得られないわけではありませんが、

  • 住宅ローン残高1,000万円以上
  • 金利差1%以上
  • 返済期間10年以上

を満たしていない場合は借り換えによる効果がないか、薄い可能性があります。

借り換えのための資金が不足している

住宅購入時に住宅ローンを組んだときと同じように、借入れる際には諸費用がかかります。借り換え時に諸費用も合わせて借入れることはできますが、借り換えによる効果が薄くなります。場合によっては借り換えすると損をすることもあります。

FPからのアドバイス

ここで挙げた3つの条件は目安となります。条件を満たしていなくても借り換えの効果を得られることもありますので、興味のある方はシミュレーションをしてみましょう。

また借り換えには普通、借り換え用の資金が必要ですので、家計に余裕があるかどうかの判断も必要です。借り換えによる利息負担の軽減だけにとらわれず、資金が減少しても問題ないかどうかも確認しましょう。

住宅ローンを借り換えで減らせるのはどれくらいか

<住宅ローン借り換えシミュレーション 前提条件>

当初(15年前)の借り入れ状況 現在の借り入れ状況
借入金額3,000万円 残高1,970万円
金利2% 金利2%
返済期間35年 残りの返済期間20年

借入金額3,000万円、金利2%、返済期間35年で借りた住宅ローンを15年後に借り換えると想定します。このような住宅ローンの借り入れ状況でシミュレーションをして、どのぐらい借り換えによる効果があるか見てみましょう。

借り換えでお得になった事例

金利が1%の金融機関に借り換えた場合の事例を見てみましょう。

<住宅ローンの借り換え前と借り換え後の比較>

借り換え前 借り換え後
月々の返済額 99,659円 90,599円
年間返済額 1,195,908円 1,087,188円
残り20年間の返済額 23,918,160円 21,743,760円
残り20年の利息負担額 4,218,160円 2,043,760円

まず、「月々の返済額」を見てみましょう。借り換え前が99,659円だったのに対し、借り換え後は90,599円となっており、約9,000円返済額が軽減できています。

次に表の一番下にある「残り20年の利息負担額」を見ますと、借り換え前が約420万円だったのに対して、借り換え後は約200万円となっています。この時点での借り換え効果は約220万円となります。

最後に、借り換えでは諸費用がかかりますので、諸費用を加えた借り換え効果を見てみます。

借り換えの諸費用

手数料 10,800円
保証料 292,229円
保証会社手数料 32,400円
印紙代 20,000円
抵当権抹消費用 20,000円
印紙代 15,000円
登録免許税 78,800円
司法書士手数料 50,000円
諸費用合計 499,299円

諸費用が約50万円かかりますが、現金で支払うこととします。

420万円-200万円-50万円=170万円

となり、この場合は借り換えにより約170万円の利息負担が軽減されたことになります。 

あなたの借り換えシミュレーションをチェック

今回のシミュレーションは、三井住友銀行のシミュレーションツールで行いました。

借り換えシミュレーションができる金融機関は多いですが、三井住友銀行は毎月の返済額を入力する必要がなく、次の数値のみでシミュレーション可能です。

  • 借入残高
  • 残りの返済期間
  • 今の借入金利(当初の借入金利)
  • 借り換え金利

諸費用の概算も同時に出ますので、簡単に借り換えの効果を確認することができます。

シミュレーション機能の注意点

シミュレーションを利用する際には、おもに以下の情報が必要となります。

  • 借入残高 
  • 残りの返済期間 
  • 現在の借入金利 
  • 毎月の返済額 
  • 借り換え金利

借り換え金利につきましては、事前に借り換え予定の金融機関の金利を調べておく必要があります。またサイト上のシミュレーション機能による結果は概算ですので、借り換えするかどうかの判断は直接、金融機関にご相談ください。

借り入れや返済のシュミレーションについて知りたい際は「住宅ローンのシミュレーションで借入額・返済額がわかる!」を参考にしてください。

いつ借り換えすると良いか

借り換えするタイミングは人それぞれです。借り換え自体、新規借入時から一定の年数を経過しないと借り換えの効果が出ませんので、基本的には新規借入時から10年以上を目安にしておきましょう。

借り換えにも審査がある

住宅ローンの借り換えをする際には、金融機関による審査があります。金融機関ではどのような審査が行われているか解説していきます。

借り換え審査の基準

金融機関による審査基準は公開されていませんが、公開されている調査などによると次のような基準があります。

  • 完済時年齢
  • 健康状態
  • 借入時年齢
  • 担保評価(土地と建物の価値)
  • 勤続年数
  • 年収
  • 連帯保証
  • 営業エリア
  • 返済負担率
  • 融資可能額
  • 雇用形態
  • 他の債務状況や返済履歴 など

借入れの審査ですので、おもに返済能力があるかどうかを確認していることがわかります。

借り換え審査を突破するための対策

借り換えの審査を突破するためには、返済能力を上げることが大切です。収入は急に上げることはできませんので、具体的な行動としては、支出面での見直しを行います。審査項目にあります、「他の債務状況や返済履歴」について考えてみましょう。

住宅ローンの返済負担率を考えるときには、これから借りようとするローンの借入金額だけでなく、現在返済中の借入金額を含めます。

キャッシングや自動車ローンの返済など、住宅ローン以外の返済金額がどのぐらいあるか確認しておく必要があります。金融機関によってはキャッシングしていなくても、カード借入可能額も審査の対象としているケースがあります。

次に、担保評価(土地と建物の価値)についても考えておく必要があります。例えば、借り換えで2,000万円必要でも担保価値が1,500万円しかなければ借入上限額は1,500万円となり、不足する500万円は持ち出しとなります。

このような状況を担保割れと言いますが、担保割れに備えて ある程度の借り換え資金を準備しておくと借り換えをしやすくなります。また借り換えの諸費用を含めてローンを組んでも効果が得られることがありますが、諸費用は一括払いすることで審査に通りやすくなります。

借り換え審査にかかる期間

住宅ローンの借り換え審査には、2週間から1ヵ月程度かかります。審査期間をなるべく短くしている金融機関はありますが、申込み具合によって遅くなることもあります。

書類の不備がありますと審査結果が出るまでに余計に時間がかかりますので、間違いや漏れなく記入し、必要書類を確実に準備することで審査がスムーズに進みます。

借り換え審査の必要書類

借り換え審査に必要な書類は、金融機関によって若干異なりますが、おおむね以下のようになります。

  • 借入申込書 
  • 本人確認書類
  • 収入確認書類
  • 健康保険証
  • 印鑑証明書
  • 団体信用生命保険申込書兼告知書
  • 不動産に関する書類(登記事項証明書や売買契約書)
  • 返済に関する書類(住宅ローンやカードローンなどの返済予定表)

本人確認書類は運転免許証やパスポート、住民基本台帳カードなどで、収入確認書類は給与証明書や源泉徴収票、納税証明書、確定申告書などがあります。

借り換えの注意点

ここでは借り換えをする際の注意点についてお伝えしていきます。借り換えを考えている方にとっては大切な内容ですので、参考になさってください。 

借り換えには50~100万円の諸費用がかかる

借り換えシミュレーションでも解説しましたが、シミュレーションでは諸費用は約50万円でした。諸費用は金融機関だけでなく、借入金額によっても異なります。諸費用を含めて借り換えることができますので、資金が不足している場合は検討しておきましょう。

借り換えによる効果は諸費用の額にも左右される

シミュレーションで諸費用50万円、かなりの金額になります。諸費用の大半を占めているのが保証料です。金融機関によっては、保証料が金利に含まれている場合や保証料ではなく事務手数料の負担が大きくなっている場合があります。

金利が低くても保証料が高かったり、保証料が無料でも事務手数料が高かったりしますので、諸費用の合計額で比較しましょう。諸費用の金額でも借り換えによる効果は変わりますので、注意が必要です。

普通、現在の借入先である金融機関では借り換えできない

一般的に現在の借入先である金融機関が扱う商品との借り換えできません。借り換え先を選択する際には他行から選ぶことになります。ただ、金融機関では金利の設定変更ができます。

設定変更は変動金利から固定金利、固定金利から変動金利への変更となりますが、借り換えとは違い、ほとんどの金融機関では手数料なしで手続きが可能です。

また金融機関の商品とフラット35の変更は、借り換えとなります。この変更が可能かどうかは金融機関によって異なりますので、都市銀行とネット銀行を中心に調べてみました。以下の表を参考にしてください。

フラット35からの借り換え フラット35への借り換え
みずほ銀行
三菱東京UFJ銀行 フラット35の取扱なし
三井住友銀行 ×
りそな銀行 × ×
楽天銀行
住信SBI銀行
じぶん銀行 フラット35の取扱なし
ソニー銀行 フラット35の取扱なし
新生銀行 フラット35の取扱なし
イオン銀行

借入金額に上限がある

借り換え審査で担保評価(土地と建物の価値)の解説をしましたが、実際には借入金額の範囲との関係で、次のような決まりがあります。

借入金額の範囲 具体例

借入金額 50万円以上1億円以内(1万円単位) ※ただし次の①と②の範囲内
①税込年収に占める年間元利金返済額の割合が35%以内
②担保評価の最高300%の金額か最高2,500万円を加えた金額のいずれか低い方の金額

担保割れ(不動産の担保評価額が住宅ローンの残高より少ない状態)していても、②で担保評価以上の借り入れが可能だとわかります。

ただ金融機関によって「担保評価の最高200%」とするなど、借入金額の条件が異なりますので、希望する金額を借りられない場合もあります。

借り換えにこだわりすぎない

金利や借入金額、手持ち資金の有無など条件によっては借り換えによる効果があまり得られない場合があります。

借り換えする理由は住宅ローンの家計への負担を減らすことにありますが、家計への負担を減らす手段としては他に、一部繰り上げ返済もあります。効果が薄い場合には、他の手段を選ぶか延期することも考えましょう。

変動金利への借り換えも考える

変動金利は、将来、金利の上昇により利息負担額が増え、借り換えの効果が小さくなる可能性があります。借り換えで変動金利を選択するのをためらう人もいらっしゃるでしょう。

情報サイトによってはこの変動金利のリスクのみ強調している場合がありますが、どの程度リスクがあるかを確認しておくことをおすすめします。

金利が低いと元金の減りは早くなります。支払金額に含める元金の割合が高いためです。金利が低い変動金利は固定金利より元金の減りが早いため、借入金額と返済期間によっては変動金利による変動リスクは軽減されます。

変動リスクは存在しますので、金利が何%になると借り換えによる効果がなくなるか確認して、幅広く商品を選ぶことをおすすめします。

3つのステップでできる借り換え先の選び方

ここではこれから借り換えをしようと考えているけれど、どうやって借り換え先を選んだらよいのか分からない方向けに、借り換え先の選び方について解説していきます。

ステップ1 借り換え先となる金融機関を探す

サイト上にあるランキングや評判は参考程度にとらえ、サイト検索でご自身に合った金融機関を選択していきます。ネット銀行以外の金融機関は、営業圏内であることが条件となります。

候補としては、勤め先の提携の金融機関(福利厚生制度)、自宅や勤務先近くの金融機関、ネット銀行などから10行ほどの金融機関を選びます。金利や諸費用は気にせず、ご自身の選択肢としてどのような金融機関があるか調べます。

この段階でランキングや評判を気にしすぎますと自分に合った金融機関を逃す可能性がありますので、ご注意ください。

ステップ2 金融機関を絞り込む

金融機関を絞り込む時には、金利、諸費用を基準にしますが、シミュレーションをしなければ比較することはできません。ステップ1で候補に挙がったすべての金融機関でシミュレーションを行います。

ただ諸費用が分からない場合がありますので、わかる範囲でシミュレーションをします。明らかに借り換えによる効果が小さい金融機関だけ除外します。このステップで絞り込んだ金融機関に直接、相談したり仮審査をしたりしていきますので、その手間を考え3~5行に厳選します。 

  

ステップ3 金融機関に仮審査を申し込む

借り換えによる効果を正確に知りたい場合には仮審査を通過しなければなりません。仮審査を通過後に、金融機関に問い合わせると、利息負担額や諸費用の詳細について教えてくれます。

最終的に、ステップ2で絞り込んだどの金融機関が最も借り換えによる効果が高いか見極めます。

借り換えにお勧めの金融機関については「住宅ローンの借り換えにおすすめの金融機関と選び方!」を参考にして下さい。

まとめ

いかがだったでしょうか。

住宅ローンの借り換えは、住宅ローンのメンテナンスの一つで、家計への負担を減らすことができる手段です。どの金融機関がいいかは、比較してみないと判断できません。

最初はあまり選択肢を絞り込まず、幅広く調べることで様々なことが分かってきます。金融商品ですので、理解しにくさはありますが、この記事を参考により良い借入先を見つけてください。

執筆者情報

F&J FP事務所

F&J FP事務所 ファイナンシャル・プランナー

ファイナンシャルプランナー・住宅ローンアドバイザーとして、住宅ローンや保険の相談・アドバイスをしております。これから住宅ローンを利用しようとしている方々に向けて、公正中立な立場で役に立つ情報を発信できればと考えております。

詳細はコチラ
  • このエントリーをはてなブックマークに追加