• 2020.11.02

「フラット35S」と「フラット35」の違いを解説! 審査条件や金利、返済シミュレーションを比較

執筆者: 中野良唯 (ジョインコントラスト株式会社)
住宅ローンフラット35S

住宅ローンを検討する際、「フラット35」が候補になる人は多いでしょう。

フラット35は住宅金融支援機構が民間の金融機関と提携して提供している全期間固定型の住宅ローンで、以下のようなメリットから人気があります。

■メリット

  • 金利変動の影響を受けないので、返済計画が立てやすい
  • 民間の金融機関が提供している全期間固定型の住宅ローンと比べて金利が低い

しかし、実は「フラット35」と一口に言っても、その種類は一つではありません。

たとえば「フラット35S」はフラット35の一種で、耐震性や省エネルギー性に優れた住宅を購入する場合に金利の引き下げを受けることができます。

一定の条件を満たせば、借り入れ後5年間もしくは10年間の金利が0.25%引き下げられるので、「フラット35S」のことをしっかり理解してお得に申し込みたいですね。

この記事では、フラット35Sに関する、以下のポイントを解説します。

この記事のポイント

この記事を読めば、フラット35Sについて理解し、自分が検討すべきかどうかが分かりますので、ぜひ最後までご覧ください。

「フラット35」は、住宅金融支援機構と全国300以上の金融機関が提携して提供している住宅ローンです。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

中野良唯

ジョインコントラスト株式会社

保有資格・検定

AFP、宅地建物取引士

大手ハウスメーカーでの営業所長を経て、生命保険会社へFPとして転職。 その後、独立系FPとしてコンサルティングの幅を広げるためジョインコントラスト株式会社へ移籍。 現在は「家計教師.com」に所属するFPとして、家計の個別コンサルティングや各種セミナー、企業や学校などで講演会なども行なっています。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

「フラット35」と「フラット35S」の特徴

最長35年の全期間固定金利であること、また審査では融資条件が重視されることが、フラット35の大きな特徴と言えます。

フラット35の特徴

  • 最長35年の全期間固定金利
    フラット35の特徴は、最長35年にわたり全期間固定金利となることです。
    返済中に景気や物価などの影響を受けて市場金利が上昇しても、住宅ローンの融資実行時に確定した金利が上がることはありません。
    そのため、フラット35の借入時には、将来の返済額や総返済額が確定します

  • 融資条件を重視する審査基準
    フラット35の審査では、住宅ローン契約者の年収や勤続年数よりも、融資条件をクリアしているか否かが重視されます。
    審査基準の違いから「フラット35は金融機関の一般的な住宅ローンよりも借りやすい」と言われることもあります。

長期にわたり金利が固定される住宅ローン商品は取り扱いが難しいため、民間の金融機関ではフラット35のような全期間固定金利の住宅ローン商品をあまり販売していません。

にもかかわらず、住宅金融支援機構が全期間固定金利の住宅ローンを取り扱っているのは、「証券化」という仕組みで資金を調達しているためです。

フラット35の仕組み

住宅金融支援機構は、民間の金融機関のローン債権を買い取り、そのローン債を信託銀行などに担保目的で信託して、資産担保証券を投資家に発行します。
資産担保証券の購入代金は、ローン債権の買取代金として金融機関に支払われます。
住宅ローンの返済金は金融機関から住宅金融支援機構に引き渡され、投資家の元利金支払いに充てられます。

このように、住宅金融支援機構では長期の資金調達ができる仕組みが整っているため、全期間固定金利の住宅ローン商品の提供が可能となっています。

「フラット35S」も、全期間固定金利の住宅ローン商品の一つです。

フラット35Sの特徴

  • フラット35の借入金利から引き下げが適用される
    省エネルギーや耐震に優れた住宅を取得する場合、5年間もしくは10年間は金利が引き下げられます。
    2020年11月時点における金利引き下げ幅は0.25%です。
フラット35の技術基準を満たしたうえで、より高性能な住宅を取得すれば、「フラット35S」でお得に住宅ローンを借りられるでしょう。

フラット35Sには2つのタイプ(Aタイプ・Bタイプ)がある

フラット35Sとフラット35の関係図

フラット35Sは、物件の技術基準レベルに応じてAタイプとBタイプに分かれます。

フラット35の技術基準より高ければフラット35SのBタイプ、それよりも技術基準が上がればフラット35SのAタイプを利用できます。

フラット35Sのどちらのタイプを利用するかによって、金利の引き下げ期間は変わります。

タイプ  Aタイプ Bタイプ
金利引き下げ期間 当初10年間 当初5年間

 
 各プランにおける技術基準については、
後述する「フラット35S Aプラン(10年間金利引き下げ)の基準」や「フラット35S Bプラン(5年間金利引き下げ)の基準」をご覧ください。

フラット35Sは受付終了になる場合もあるので注意

フラット35Sは、いつ申し込んでも必ず利用できるわけではありません。

フラット35Sには住宅金融支援機構が割り当てた予算があるため、所定の予算金額に達する見込みになれば、フラット35Sの受付は終了します

フラット35Sの受付終了日は、終了となる約3週間前までに住宅金融支援機構が運営するフラット35のホームページで発表されます。

そのため、フラット35Sの利用を考えている場合は、住宅金融支援機構のホームページで受付が終わっていないか一度確認しておきましょう

フラット35Sが対象となる4つの条件

フラット35Sの利用対象となるためには、住宅性能に関わる4分野の条件のうち、どれか1つを満たす必要があります

住宅性能  概要 具体例
省エネルギー性 高水準の断熱性などを実現した住宅
  • 建物の外壁に断熱材を使
  • 断熱性能のある設備を使う
バリアフリー性 高齢者が日常生活を過ごしやすい住宅
  • 階段に手すりを設ける
  • 住宅内の段差をなくす
耐震性 強い揺れによる倒壊・崩壊を防ぐほどの性能を確保した住宅
  • 住宅の基礎に免震材料を使う
  • 構造躯体の耐震性を向上させる
耐久性・可変性 長期にわたり良好な状態で使用できる措置が講じられた住宅
  • 木造住宅の場合は耐腐食性のある外壁材を使う
  • 構造躯体に劣化対策を講じる

フラット35Sで設定されている住宅の技術基準を満たすには相応の建築費がかかりますが、住宅性能の向上により居住後のコストを削減できる場合があります

たとえば、夏は涼しく冬は暖かく過ごせる住宅にすることで、冷暖房費を抑えることが可能です。

住宅をバリアフリーにして耐久性を高めれば、リフォーム工事を行わなくても、長年にわたって暮らすことができます。

では、フラット35Sの利用にあたり、どれくらいの技術基準が求められるのでしょうか。

ここからはAプランとBプラン、それぞれの基準を見ていきましょう。

フラット35S Aプラン(10年間金利引き下げ)の基準

フラット35SのAプランを利用するためには、下記の項目のうち、いずれか1つを満たす必要があります。

■新築住宅・中古住宅共通の基準

省エネルギー性
  • 認定低炭素住宅
  • 一次エネルギー消費量等級5の住宅
  • 性能向上計画認定住宅(建築物省エネ法)
バリアフリー性 高齢者等配慮対策等級4以上の住宅
(共同建て住宅の専用部分は等級3でも可)
耐震性 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)3の住宅
耐久性・可変性 長期優良住宅

(出典:住宅金融支援機構【フラット35】「【フラット35】Sの対象となる住宅」

フラット35S Bプラン(5年間金利引き下げ)の基準

新築住宅の場合は、「新築住宅・中古住宅共通の基準」の中から1つが該当すれば問題ありません。

一方で中古住宅の場合、「新築住宅・中古住宅共通の基準」または「中古住宅のみの基準」のうちのいずれか1つを満たす必要があります。

中古住宅の購入にあたり、フラット35SのBプランの利用を検討している人は、共通の基準と中古独自の基準の2つを確認しましょう

■新築住宅・中古住宅共通の基準

省エネルギー性
  • 断熱等性能等級4の住宅
  • 一次エネルギー消費量等級4以上の住宅
バリアフリー性 高齢者等配慮対策等級3以上の住宅
耐震性
  • 耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上の住宅
  • 免震建築物
耐久性・可変性 劣化対策等級3の住宅で、かつ維持管理対策等級2以上の住宅
(共同建て住宅などは一定の更新対策が必要)

(出典:住宅金融支援機構【フラット35】「【フラット35】Sの対象となる住宅」

■中古住宅独自の基準

省エネルギー性
  • 二重サッシまたは複層ガラスを使用した住宅
  • 建設住宅性能評価書の交付を受けた住宅
    (省エネルギー対策等級2以上または断熱等性能等級2以上)
    または
    中古マンションらくらくフラット35のうちフラット35S
    (省エネルギー性(外壁等断熱)に適合するもの)として登録した住宅
バリアフリー性
  • 浴室および階段に手すりを設置した住宅
  • 屋内の段差を解消した住宅

(出典:住宅金融支援機構【フラット35】「【フラット35】Sの対象となる住宅」

借り換えの場合はフラット35Sを利用できない

フラット35Sは、新築住宅に限らず、中古住宅を購入する際にも利用できます。

しかし、すでに借りている住宅ローンから、フラット35Sに借り換えることはできません

「全期間固定金利の住宅ローンに借り換えたい」という場合は「フラット35」なら借り換え可能です。

フラット35には「子育て世代」や「地方移住者」が優遇を受けられるタイプもある

フラット35Sは金利の引き下げが魅力的ですが、技術基準レベルを満たす性能の高い住宅にするには相応の建築費が必要です

そのため、

金利の優遇を受けたいけど、フラット35Sの基準を満たすほど建築費にお金をかける余裕がない

という人もいるでしょう。

実は、フラット35S以外にも金利の引き下げが適用されるフラット35があります

金利の引き下げがあるフラット35

子育て支援型・地域活性化型は、それぞれフラット35Sと併用できるため、金利の優遇を受けることでさらに住宅ローンをお得に借りることができます。

ここからは、子育て支援型・地域活性化型の概要と利用条件を解説します。

子育て支援型:子育て世帯の金利を当初5年間0.25%引き下げ

子育て支援型は、地方公共団体の子育てに関する財政的支援と、フラット35の借入金利の引き下げがセットになった住宅ローンです。

借り入れ当初の5年間は、金利0.25%が引き下げられます。

地方公共団体が若い子育て世帯に向けた補助金などを交付しており、住宅ローン契約者がその補助金の対象者となった場合に、フラット35の子育て支援型を利用できます。

子育て支援型の利用条件

  • 地方公共団体が下記のいずれかの財政的支援を行っていること
    1)若年の子育て世帯が住宅を取得する場合
    2)若年の子育て世帯と親世帯が同居もしくは近居する住宅を取得する場合

(出典:住宅金融支援機構「【フラット35】子育て支援型・【フラット35】地域活性化型の利用要件」

地域活性化型:UJターンなどで金利を当初5年間0.25%引き下げ

地域活性化型とは

地域活性化に取り組む地方公共団体の財政的支援と、フラット35の借入金利の引き下げがセットになった住宅ローンです。

借り入れ当初の5年間は、金利0.25%が引き下げられます。

地方公共団体が地域活性化のための補助金などを交付しており、住宅ローン契約者がその補助金の対象者となった場合に、フラット35の地域活性化型を利用できます。

地域活性化型の利用条件

  • 地方公共団体が下記のいずれかの財政的支援を行っていること
    1)UIJターンをきっかけに住宅を取得する場合
    2)居住誘導区域外から居住誘導区域内に移住する際に住宅を取得する場合
    3)空き家バンクに登録されている住宅を取得する場合
    4)防災・減災対策に資する住宅を取得する場合

(出典:住宅金融支援機構「【フラット35】子育て支援型・【フラット35】地域活性化型の利用要件」

いずれも予算を超えれば受付終了になる可能性があるので注意

子育て支援型・地域活性型のどちらも、住宅金融支援機構が設定した予算金額に達すれば、受付は終了となります

せっかくフラット35の子育て支援型を使えると思っていたのに、申し込みが打ち切られていた

とならないよう、受付終了日には注意しましょう

受付終了日がいつになるかは、住宅金融支援機構が運営するフラット35のホームページで、終了する約3週間前までに公表されます。

住宅がフラット35Sに対応しているかを調べる方法

フラット35Sの利用対象となる住宅かどうかを知りたいときは、売主・工事請負業者・販売代理業者などに一度確認してみましょう

フラット35Sを借りるには規定の住宅性能を満たさなければならないため、自分の住宅がフラット35Sの対象となっているのかは一番気になるポイントでしょう。

しかし、住宅性能の良し悪しは構造躯体が関わることが多く、自分の目で確かめることはできません。

住宅の技術基準レベルについては、専門家に尋ねるのが賢明でしょう。

なお、フラット35Sの申し込み時は技術基準に関する証明書類の提出は不要ですが、フラット35Sの融資実行前に適合証明書を金融機関に提出する必要があります

フラット35とフラット35Sの技術基準を満たしていると確認できる書類を用意しておきましょう。

「フラット35」と「フラット35S」の返済シミュレーション

フラット35は全期間固定金利の住宅ローンであり、所定の技術基準を満たせば、金利の優遇が受けられるフラット35Sを利用することできます。

では、フラット35とフラット35Sを比べた場合、どれくらい返済額が変わるのでしょうか。

最後に、住宅金融支援機構のシミュレーションを使い、それぞれのプランにおける返済額の違いを紹介します。

<共通条件>
借入金額 3,000万円
返済期間 30年
返済方法 元利均等方式
自己資金 なし(融資率9割超)
金利 1.500%
※金利はあくまでも例です

■シミュレーション結果

毎月の返済額  総返済額
  当初5年間 6年目以降 11年目以降  
フラット35 10.4万円 10.4万円 10.4万円 3,728万円
フラット35S
Aタイプ
10.0万円 10.0万円 10.3万円 3,658万円
フラット35S
Bタイプ
10.0万円 10.3万円 10.3万円 3,690万円
子育て支援型 フラット35S
Aタイプ併用
9.7万円 10.0万円 10.2万円 3,620万円
子育て支援型 フラット35S
Bタイプ併用
9.7万円 10.3万円 10.3万円 3,651万円

上記の表を見ると、もっとも総返済額が低くなるのは「子育て支援型フラット35S/Aタイプ併用」です

フラット35Sの金利引き下げが併用でき、10年にわたり金利が優遇されるため、総返済額を抑えられることが分かります。

断熱性や耐久性を高めるためにグレードの高い建材を使用したり、制震・免震装置を設置したりするなど、住宅性能を高めようとすると、どうしても建築費はかかってしまいます。

しかし、フラット35Sが規定する住宅性能を満たせば金利が引き下げられるため、「通常のフラット35よりは返済の負担感が緩和した」と思う人もいるでしょう。

住宅金融支援機構が提供する住宅ローン商品の利用を考えている人は、住宅購入の予算や将来の返済計画を踏まえて、自分に合うフラット35のプランを選んでください

まとめ

フラット35Sは、高性能な住宅を取得した場合に利用できる住宅ローンです。

フラット35の借入金利から金利が引き下げられることが、フラット35Sの大きな特徴です。

フラット35Sを利用するためには、「省エネルギー性」「バリアフリー性」「耐震性」「耐久性・可変性」という4分野のうち、いずれか1つの技術基準レベルを満たす必要があります。

Aプラン・Bプランという種類に応じて、求められる技術基準レベルは異なるため、詳細は住宅金融支援機構のホームページや住宅の売主・工事請負業者・販売代理業者などに確認するとよいでしょう。

フラット35Sのほかには、子育て支援型・地域活性化型でも、金利の優遇を受けることができます。

ただし、いずれも住宅金融支援機構が設定した予算に達すれば、受付終了となりますので、注意してください。

住宅金融支援機構が運営するフラット35のホームページには、返済シミュレーションツールも掲載されています。

どの住宅ローンを借りようか迷っている人は、シミュレーションツールも使って、自分に合うフラット35のタイプを見つけましょう
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