• 2020.03.23

住宅ローンは年収の何倍で借りるのが正解?あなたに合った借入額を算出

住宅ローン年収の何倍
auじぶん銀行

住宅ローンの借入額の設定に迷っている場合、「年収の何倍かを目安にする」「年収と返済額の割合から考える」など、年収を基準にする人は多くいます。

しかし「年収の何倍」で住宅ローンの借入額を決めることは適切ではありません

理由はいくつかありますが、もっとも大きいのは年収以外の要因が計算に含まれないためです。

もしどうしても年収を基準に住宅ローンの借入額を考えたいときは、手取りに対しての返済負担率を基準にするとよいでしょう

返済負担率を一定以下に抑えることで、家計に無理のない住宅ローン借入額を設定できる可能性が高くなりますよ。

今回は「年収の何倍」で住宅ローンの借入額を算出すべきではない理由から、返済負担率による借り入れ金額の算出方法、返済負担率を下げるための方法までを紹介します。

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

白坂大介

ジョインコントラスト株式会社 代表取締役

当サイトの執筆監修を担当しているファイナンシャルプランナーの白坂と申します。マイホームを購入する方にとって、住宅ローンは長く付き合っていくものです。しかし専門用語も多く「よく分からない」とご相談に来られる方は年々増えています。当サイトでは記事を読まれた方が自分にあった住宅ローン探しの参考となるよう「分かりやすい記事」を心掛けています。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

年収だけで住宅ローン金額を考えるべきではない理由

冒頭でも触れたように、「年収の何倍」で住宅ローンの借入額を決めるのは適切ではありません

理由は下記の4つです。

「年収の何倍」だけで住宅ローンを考えるべきではない理由

  1. 年収以外の要因が人によって違う
  2. 年収の変動が考えられていない
  3. 頭金や金利の影響が含まれていない
  4. 「審査に通る金額」と「無理なく返せる金額」は違う

それぞれ具体的に見ていきましょう。

理由1:年収以外の要因が人によって違う

1つ目の理由に、年収以外の要因が人それぞれ違う点が挙げられます

家族の人数や生活水準など、人によって家計の状況はさまざまです。

たとえば現在の年収は同じだとしても、30歳の人と40歳の人では働いて収入を得られる期間には10年もの差が生まれます。

また子供の居る人と居ない人では、今後発生する教育費も大きく変わってきますよね。

家族ごとに今後の支出やライフプランは異なるため、単純に年収だけで計算してしまうと、想定以上に住宅ローンの返済負担が大きくなってしまうことがあるのです

理由2:年収の変動が考えられていない

住宅ローン完済までに、年収が変動する可能性が考慮されていないことも理由のひとつ。

住宅ローンを借りる人の多くは、借入期間が25年~35年と長期になります。

仮に住宅ローンを契約する際の年収が400万円だったとしても、20年後、30年後にも同じ年収400万円のままとは限りません

勤続年数とともに年収が増えることもあれば、転職などによって年収が下がってしまう可能性があることも認識しておきましょう。

理由3:頭金や金利の影響が含まれていない

「年収の何倍」という考え方には、頭金や金利による影響が含まれていません。

頭金の有無や金利によって、住宅ローンの毎月返済額や、完済までのトータルコストは大きく変わってきます。

下記は物件価格3,000万円、返済期間35年の場合のシミュレーション例です。

  トータルコスト
(頭金+諸費用を含む)
毎月の返済額
頭金300万円 33,379,590円 70,386円
頭金なし 33,738,240円 78,207円

※変動金利0.525%、元利均等返済で計算
※当サイトのシミュレーションツールにて算出

上記の例では物件価格3,000万円で同じですが、毎月返済額では約8,000円の違いが生まれます

毎月の固定費が8,000円変わるとなると、かなり大きいですよね。

「年収の何倍」だけで住宅ローンの借入額を決めてしまうのは、少々アバウトな考え方なので、頭金や金利の影響も含めた上で借入額を考えましょう

理由4:「審査に通る金額」と「無理なく返せる金額」は違う

4つ目の理由は、審査に通る金額と、無理なく返していける金額は異なるという点です

住宅ローンの審査では、「年間の返済額が年収の35%以内」となる範囲内の借入金でなければ、基本的に住宅ローンを借りることはできません。

そのため「返済額が年収の35%以内なら問題なく返していける」と、捉えてしまう人も少なくはありません。

年収の35%の上限額いっぱいまで借りると、ローン返済によって家計に大きな負担がのしかかる可能性があります。

例:年収400万円のケース

「年収の35%」をもとにローン返済額を算出すると、毎月のローン返済額は11.7万円。

12ヶ月に換算すると約140万円になり、収入の約3分の1を住宅ローンの返済に充てることになります

家族構成やライフスタイルにもよりますが、ゆとりのある生活が難しくなる可能性が高いでしょう。

そのため年収の35%以内に抑えておけば住宅ローン審査に申し込むことは出来ますが、借入上限額を目安に住宅ローンの借入額を決めることは適切ではないと言えるでしょう。

では、住宅ローンの借入額を「年収の何倍」で考えるのが最適でないとすれば、いったい何を基準にして住宅ローンの借入額を決めればよいのでしょうか。

次の章では、手取り収入に対しての返済負担率から計算する方法を紹介します。

手取りに対しての返済負担率から考える方法もある

これまで解説したように「年収の何倍」や「年収の何%」と、収入から住宅ローンの適正な借入額を算出すること自体が基本的に正しい方法ではありません。

それでも収入を基準として借入額を算出するのであれば、ある一定以下の「返済負担率」にする考え方をお伝えします。

返済負担率とは?

年収に占める年間の住宅ローン返済額の割合のこと

返済負担率の計算方法

返済負担率から住宅ローンの借入額を考える場合は、「返済負担率が手取り年収の20%」がひとつの目安です

返済負担率は、下記の計算式で求めることができます。

返済負担率の計算式

返済負担率(%)=年間のローン返済額÷手取り年収×100

各世帯で生活費や教育費などの支出は異なりますが、返済負担率が20%に収まっていれば、家計に無理のないローン返済ができる可能性が高いでしょう。

その他のローンや借り入れも含める

住宅ローン以外にも借入がある場合は、手取り収入から、他の支払い金額を差し引いた上で計算しましょう

他の支払い金額は毎月固定で引かれるため、手取りに含めたまま計算すると、毎月の返済負担率に大きく影響します。

特に気にするべきは、自動車ローンや奨学金、クレジットカードのリボ払い、携帯電話の分割購入代金、カードローンなど。

各種ローンの返済金額を合計した際に、手取りの年収に対して各種ローンの返済金額の合計が20%以内なら問題ありません

これらの借金は住宅ローンの審査結果にも影響を及ぼす可能性があるため、思い当たるローンがある方は下記の記事も参考にしてみてください。

関連記事借金ありでも住宅ローンの審査に通る!キャッシングや過去の借金の影響を解説

【年収別】手取り換算での借入可能額の早見表

ここまで住宅ローンの借入額の算出方法を紹介しましたが、

「いろいろと計算するのは苦手」
「手っ取り早くいくら借りられるのか知りたい」

という人もいるでしょう。

そこで、手取り年収から返済負担率20%となる住宅ローンの借り入れ金額をあらかじめ計算した早見表をご紹介します。

下記に手取り年収ごとの住宅ローンの借り入れ可能額をまとめていますので、該当する年収の欄を参考にしてください。

【試算条件】
金利:1%、返済期間:35年、返済方法:元利均等、他の借入金・ボーナス返済:なし

額面の年収 手取りの年収 借り入れ金額
(返済負担率20%の場合)
年収400万円 310万円 1,830万円
年収500万円 380万円 2,243万円
年収600万円 450万円 2,656万円
年収700万円 520万円 3,070万円
年収800万円 590万円 3,483万円
年収900万円 650万円 3,837万円
年収1,000万円 720万円 4,251万円

※10万円未満は切り捨て。
※上記はあくまでも概算です。特に額面年収に対する手取り額は、扶養家族の有無などによっても異なりますので、あくまでも目安としてください。

自身の手取り年収から借り入れ金額の目安を知っておけば、ある程度は安心できる資金計画の参考になるでしょう。

返済負担率を下げるための方法4つ

返済負担率は手取り年収の20%が望ましいとはいえ、「返済負担率を下げると、住宅ローンの借入額が購入を希望している物件価格に届かない」というケースもあるでしょう。

そうなると当然、返済負担率を上げて住宅ローンを借りることになりますが、毎月のローン返済額が増えることでローン返済が困難になるリスクも考えられます。

では、どうすれば返済負担率を下げることができるのでしょうか。

最後に、返済負担率を下げるための方法を4つ紹介します。

返済負担率を下げるための方法

  1. 頭金を増やす
  2. 他の借り入れを完済する
  3. 金利が低い住宅ローンを借り入れる
  4. 返済期間を長くする

頭金を増やす

返済負担率を下げるためには、当たり前ですが、頭金を増やすことが有効な方法のひとつです。

頭金を支払うことで住宅ローンの借入額は減るため、返済負担率も下がります。

また、頭金を用意できることは「きちんとお金を管理して貯蓄できる」ことの証となり、金融機関に好印象を与えることで住宅ローン審査に通る確率が高くなります。

しかし、頭金を増やそうとして、手元の預貯金を大幅に取り崩してしまうことはよい選択ではありません

今ある貯蓄のほとんどを頭金に費やしてしまうと、不測の事態が起こった場合に対処できなくなる恐れがあります。

ある程度の生活費の予備資金として、最低でも半年分の貯蓄は手元に残しておくようにしましょう。

他の借り入れを完済する

住宅ローン以外に借り入れがある場合は、その借入額の返済額と住宅ローンの返済額を合算して返済負担率を計算します。

そのため、他の借り入れを完済することによって、住宅ローンの借入額を増やすことが可能です

基本的に、カーローンやクレジットカードのリボ払いなどの金利は、住宅ローンの金利よりも高めに設定されています

高金利のローンを完済してから、比較的低金利の住宅ローンに集中するほうが、利子の支払いの面でもお得になります。

現在、他に借り入れがある人は、以下の手順を参考にしてください。

■他に借り入れがある場合の手順

STEP1 今ある借り入れを洗い出す
STEP2 借り入れがひとつしかない場合は、住宅ローンを借りるまでに完済する
STEP3 借り入れが複数ある場合は、月々の返済額が大きいローンを優先して返済する
STEP4 他の借り入れの完済後に住宅ローン審査に申し込む

金利が低い住宅ローンを借り入れる

低金利の住宅ローンを借りれば返済負担率は下がり、住宅ローンの借入額も増えます。

金利が数%異なるだけで、住宅ローンの借り入れ可能額も大きく変わります。

たとえば、金利1.110%の住宅ローンと金利3.000%の住宅ローンを比べると、金利の違いから借り入れ可能額が最大で数千万円も違うケースも存在します

同等の条件で住宅ローンを借りるのなら、金利は低いに越したことはありませんよね。

特に、ネット銀行の住宅ローンは比較的低金利であることが特徴です。

住宅ローンを借りる際は、ネット銀行も含めてさまざまな金融機関の住宅ローン商品を比較検討しましょう

返済期間を長くする

返済負担率を下げたい場合は、住宅ローンの返済期間を長く設定しましょう。

住宅ローンの返済期間が長くなれば、毎月のローン返済額が少なくなり、返済負担率も下がります。

ただし、自身が定年退職する時期や、年金を受給する時期まで住宅ローンの返済が残っていると、老後に年収が大幅に下がった状態で住宅ローンを返済しなければなりません

在職時のような収入を得られないまま住宅ローンの返済額を捻出するのはリスクが高いため、住宅ローンの返済期間を長期にする場合は、ご自身のライフプランはもちろん、老後に向けた貯蓄計画も同時に考慮する必要があるでしょう

長期の返済期間を検討してもよいケース

  1. 現役のうちに完済が見込める年齢である
  2. フラット35などの全期間固定金利の住宅ローンを借りる

上記に該当する場合は、返済期間を長くすることを選択肢に入れてもよいでしょう。

まとめ

住宅ローンの借入額は「返済負担率が手取り年収の20%」を目安にしましょう。

返済負担率を計算するときのポイントは、「手取りの年収で考える」「他の借り入れも含める」の2点です。

しかし、返済負担率を手取り年収の20%に設定すると、希望する住宅購入計画が成り立たないケースもあります。

返済負担率を下げて住宅ローンの借入額を増やしたい人は、今回ご紹介した返済負担率を下げるための4つの方法を参考にしてください。

返済負担率を下げるための方法

  1. 頭金を増やす
  2. 他の借り入れを完済する
  3. 金利が低い住宅ローンを借り入れる
  4. 返済期間を長くする

支出に占める住宅ローン返済額の割合が大きくなると、家計に無理が生じる恐れがあります。

住宅ローンを借りる際は、返済負担率も参考に適正な借入額を設定するように心がけましょう。
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