• 2020.10.19

店頭金利と適用金利の違いって? 住宅ローンの金利をチェックするときのポイントを解説

執筆者: 政所温也 (株式会社Choices 代表取締役)
店頭金利と適用金利の違いって? 住宅ローンの金利をチェックするときのポイントを解説

住宅ローンを検討していると、「店頭金利から最大▲1.5%」「適用金利は〇%」といった言葉をよく目にするかと思います。

こうした表示に、そもそも店頭金利や適用金利とはどういう意味なのか、実際にどの金利をチェックすればいいのか、混乱してしまう人も多いでしょう。

簡単に言うと、店頭(基準)金利とは「金融機関がもともと設定している金利」のこと。わかりやすくいえば「定価」のようなものです。

また、適用金利とは、「店頭(基準)金利から割引や優遇をしてもらった後の、実際に住宅ローンを借りる際の金利」を指します。

金融機関ではそれぞれ「店頭(基準)金利」を設定していますが、実際に借りる際にはさまざまな割引や優遇を受けられるため、店頭(基準)金利よりも低い「適用金利」で住宅ローンを借りることができるのです。

では、適用金利だけをチェックしていればOKかというと、実は気を付けなければいけないポイントもあります。

知らずに借りると損をしてしまうこともあるので、住宅ローンを借りる前に、店頭金利と適用金利の仕組みをしっかり理解してくださいね。

  • まずは「店頭金利」と「適用金利」の仕組み理解することが大切
  • 将来的に「店頭金利」や「優遇幅」が変わると、返済額が上がってしまう可能性も……
  • 優遇幅には「当初優遇」と「通期優遇」の2種類がある
  • それぞれの違いを理解して、自分に合った住宅ローンを借りよう

この記事を執筆・監修している専門家

執筆者

政所温也

株式会社Choices 代表取締役

保有資格・検定

2級ファイナンシャル・プランニング(FP)技能士、損害保険募集人、損保自動車専門試験合格

2010年にファイナンシャルプランナー(FP)として独立し活動中。過去に大手金融ニュースメディアや損保公式サイトでも執筆活動を行った実績があり、「読みやすく理解しやすいライティング」を得意としている。2020年9月現在で、1,700記事以上の執筆実績がある。

編集者

ナビナビ住宅ローン編集部

住宅ローンを組む時に抱える「どうやって住宅ローンを選べば良いかが分からない」「金利の違いがよく分からない」「一番お得に借りられるローンはどれなの?」といった疑問・不安を解決できるように解説していきます。

店頭金利とは? 適用金利との違いや仕組みを解説

店頭金利と優遇金利、適用金利の違い

冒頭でも解説した通り、店頭金利とは、金融機関が独自に設定している住宅ローンの「元々の金利」で、「基準金利」「店頭表示金利」とも呼ばれています。

住宅ローンでは、店頭金利という名の定価から各種割引が差し引かれ、実際に住宅ローンを借入れする際の「適用金利」が決まるのです。

わかりやすくいえば、「店頭金利」と「適用金利」の関係は以下のようなイメージになります。

  • 店頭金利=定価
  • 適用金利=実際に借りるときの金利で、割引後の価格

また、住宅ローンの広告や金融機関のHPを見ていると、「店頭金利」「適用金利」以外にもわかりづらい表記が出てきますので、あわせて理解しておきましょう。

広告や金融機関HPの表示を理解しておこう

住宅ローンの広告や金融機関のHPでよく出てくる表記として、以下のようなものが挙げられます。

  • 店頭金利より最大▲1.5%
  • 当初優遇(当初引き下げ)
  • 通期優遇(全期間引き下げ)

「▲1.5%」のような表記の「▲」とは、金利の引き下げ幅を示しています。

つまり、例えば2.475%の店頭金利の住宅ローンで「店頭金利より最大▲1.5%」という表記があった場合、以下のように考えられます。

(例)店頭金利「2.475%」、店頭金利より最大▲1.5%の場合

2.475%-1.5%=0.975% : 適用金利は0.975%~となる

また、店頭金利からどのくらい金利が、どの程度の期間割り引かれるのかは、「当初優遇(当初引き下げ)」「通期優遇(通期引き下げ)」のどちらのプランを選ぶのかによって異なります。

では、「当初優遇(当初引き下げ)」と「通期優遇(通期引き下げ)」とは、それぞれどのようなプランなのでしょうか。次の章で解説します。

当初優遇、通期優遇の違いについて

住宅ローンの適用金利は、店頭金利から大幅に金利を割引される「金利優遇幅」を引いた金利になっています。

金利優遇幅には、「当初優遇」と「通期優遇」という2種類のプランがあります。

それぞれの優遇内容や違いは以下の通りです。

<当初優遇、通期優遇の違い>

当初優遇 (当初引下げ)  ローン借入当初(あらかじめ約束された期間まで)の金利優遇が大きい
通期優遇 (通期引き下げ、全期間引下げ) 住宅ローンの借入期間中、全期間において一定の金利優遇が受けられる

「当初優遇」は、当初○○年までなど、借入当初の金利を引き下げて負担を大きく減らすプランです。

「子どもの教育費がかかる初めの数年だけ金利負担を抑えたい」という方や、「繰り上げ返済を活用して短い期間で返済したい」という方に適しています。

一方、「通期優遇」は、全期間一定の金利優遇が受けられるので、安定して優遇を受け続けることができます。

したがって、「長期で住宅ローンを返済していきたい」という方や、「変動金利の上昇不安を少しでも緩和したい」という方に適していますよ。

それぞれ向き不向きがあるので、割引を始めにしっかり受けたいなら当初優遇、長い期間で安定して割引を受けたいなら通期優遇がおすすめです。

店頭金利の決まり方

店頭金利は金融機関によって独自に設定されていますが、実際に各金融機関の住宅ローン店頭金利を見てみると、あまり大きな違いはありません。

その理由は、店頭金利を決める指標がほとんどの金融機関で共通だからです。

住宅ローンの店頭金利の決まり方は金利タイプによって異なり、それぞれ以下のような仕組みになっています。

<金利タイプ別 住宅ローン店頭金利の決まり方>

金利タイプ 店頭金利が決まる仕組み
長期固定金利
(契約後、金利が固定される)
長期金利(10年もの国債の利回り)に影響を受けて変動する。長期金利は株価指標などと同じで毎日変動する「生きた金利」なので、短期金利よりも変動しやすい。
変動金利
(契約後半年に1度金利見直し※)
短期金利(短期プライムレート連動長期貸出金利)に影響を受けて変動する。短期金利は日銀が行う金融政策の影響を強く受けている。

※実際は半年ごとに毎回金利が変わるわけではありません。

どの金融機関であっても、「長期固定金利は長期金利から、変動金利は短期金利から影響を受けて変動する」という点がほぼ共通しているので、住宅ローンの店頭金利も同程度の水準になるということですね。

金利の決まり方は、金利タイプを検討するうえでも非常に重要なポイントですので、覚えておきましょう。

「適用金利」だけチェックしていると、いきなり返済額が増えることも

実際に借りる際の金利が適用金利なら、「店頭金利や優遇幅を考えずに、適用金利だけをチェックすればいいの?」と思う方もいるかもしれません。

確かに、全期間固定金利の住宅ローンなら適用金利はずっと固定なので、店頭金利を気にする必要はありません

しかし、変動金利や固定期間選択型の住宅ローンを借りる場合は、途中で店頭金利や金利優遇幅が変わる可能性があるので注意が必要です。

たとえば、当初10年間のみ優遇幅の大きい「当初優遇」の住宅ローンを借りていて、11年目に店頭金利が上昇した場合、下記のように金利が上がってしまう可能性があります。

※当初10年間▲1.8%、11年目以降は▲0.7%の金利優遇が受けられる住宅ローン
※店頭金利が10年目に2.5%から2.7%に上昇したケースを想定

  • 当初10年間の適用金利
    2.5%(店頭金利)-1.8%(優遇幅)=年0.7%(適用金利)
  • 11年目の適用金利
    2.7%(店頭金利)-0.7%(優遇幅)=年2.0%(適用金利)

つまりこのケースの場合、金利が0.7%→2.0%に、大きく上昇してしまうのです。

上記は極端なケースですが、金利の優遇期間が終わり、さらに店頭金利が上がってしまえば、適用金利は大きく上昇する可能性があります。

変動金利や固定期間選択型を借りる方は、金利変動にうまく対処するためにも、各金利の意味をしっかり把握しておきましょう。

店頭金利の推移

前章でもお伝えしたように、店頭金利は指標の変動と同時に推移していく可能性があります。

では、各金融機関の店頭金利は実際どれくらい変動があったのでしょうか。

過去の店頭金利推移を見ながら、今後の店頭金利について予測をしていきましょう。

過去の店頭金利の推移

ここでは、メガバンクの一つ、三井住友銀行の店頭金利を過去10年間分まとめました。

<三井住友銀行 過去10年間の店頭金利推移>  
※金利は年率

金利適用月 変動金利
<短期プライムレート連動>
長期固定金利
<20年超35年以内>
2019年6月 2.475% 1.68%
2019年1月 2.475% 1.68%
2018年6月 2.475% 1.73%
2018年1月 2.475% 1.71%
2017年6月 2.475% 1.63%
2017年1月 2.475% 1.69%
2016年6月 2.475% 1.59%
2016年1月 2.475% 2.03%
2015年6月 2.475% 2.15%
2015年1月 2.475% 2.09%
2014年6月 2.475% 2.37%
2014年1月 2.475% 2.49%
2013年6月 2.475% 2.83%
2013年1月 2.475% 2.58%
2012年6月 2.475% 2.52%
2012年1月 2.475% 2.64%
2011年6月 2.475% 3.05%
2011年1月 2.475% 3.04%
2010年6月 2.475% 3.16%
2010年1月 2.475% 3.18%
2009年6月 2.475% 3.95%
2009年1月
 (1月13日~30日)
2.475% 3.20%

出典:「住宅ローン 金利水準推移(新規)」(三井住友銀行)

過去10年間の店頭金利推移を見ると、変動金利は10年間まったく変わっていないことがわかります。対して固定金利は1%以上変動しており、緩やかに下降曲線をたどっています。

これは、固定金利の指標である長期金利が、短期金利より変動しやすいという特徴によるものです。

「適用金利」で見ると、変動金利も下がっている

「変動金利の店頭金利が変わっていないなら、店頭金利が下がっている固定金利で借りた方がお得なの?」と感じた方もいるかもしれません。

ですが、「適用金利」で10年前と比較してみると、変動金利もかなり低金利になっています

その理由は、各銀行の優遇幅が大きくなっているからです。

住宅ローンの適用金利は、店頭金利から優遇幅を引いた金利となるため、優遇幅が大きくなれば適用金利が下がるのです。

2016年のマイナス金利政策導入により、多くの金融機関は融資を拡大しています。

その結果、住宅ローンの顧客獲得競争が激化しているため、優遇幅がどんどん大きくなっっているのです。

これほど優遇幅の大きな状況は過去10年で見ても非常に稀なので、住宅ローンを検討するには絶好の好機だといえますよ。

今後の店頭金利の予測

過去の店頭金利から、今後の金利予測は可能なのでしょうか。結論から言えば、店頭金利がいつ、どれだけ上がるのかを完全に予測することはできません

ただ、金利の決まり方の根本を理解しておけば、自分なりの予測ができるようになります。

予測ができれば、住宅ローンを組むときも金利タイプが決めやすくなりますし、将来の返済計画にも役立ちます。

予測をする前に、金利の決まり方を振り返ってみましょう。

  • 変動金利→短期金利→短期プライムレートに影響を受ける
  • 固定金利→長期金利→10年もの国債の利回りに影響を受ける

では、そもそも短期プライムレートや10年もの国債の利回りは、どのように決まるのでしょうか?

端的にまとめると、以下のようになります。

  • 変動金利は短期プライムレートに影響を受ける=日銀の金融政策に影響を受ける
    つまり、政府の判断で決まる
  • 長期固定金利は10年もの国債の利回りに影響を受ける
    =将来の予想に基づく期待インフレ率+潜在成長率+リスクプレミアムなどが影響する
    つまり、市場の動向で決まる

それぞれを踏まえて、変動金利と固定金利の予測をご説明していきますね。

変動金利の予測

結論からいえば、変動金利は2020年以降もしばらくは横ばいだと想定されます。

変動金利は、日銀の金融政策、つまり政府の判断で決まります。

したがって、変動金利の予測を立てるときは、日銀の金融政策の動向を注視するのが基本になりますよ。

日銀は2%の物価上昇率を目標に掲げており、そのためにマイナス金利政策[「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」(※1)]を導入しました。

つまり今後変動金利が上昇するとすれば、日銀が物価上昇率の見通しを2%にしたときでしょう。

ただ、2020年4月時点の日銀の発表によると、2022年度の見通しでも、物価上昇率の見込みは2%に届いていません。

日銀としては物価上昇率の目標到達が最優先でしょうし、今の状況では、大きく金融政策を引き締める動きはないはずです。

つまり、変動金利はまだしばらく変わらず横ばいになるだろう、という予測を立てることができます。

参考
※1マイナス金利について:「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」(日本銀行):
※2物価上昇率の見通し:「経済・物価情勢の展望」(日本銀行)

長期固定金利の予測

こちらも結論からお伝えすると、しばらくは固定金利(長期金利)も横ばい傾向が続くと予想されます。

長期固定金利は、市場の動向で決まるため、景気について敏感になる必要があります。

現在、日本の市場を大きく占めているのは、800兆円以上の10年残高を占める国債(※1)です。

今は景気が停滞傾向なので、国が発行する安定資産である国債を購入する投資家が多く、購入比率が高まっているのです。

景気が良くなり国債以外の市場に資金が流れれば、国債の値段は下がり、国債利回りは上昇=長期金利も上昇します。

しかし、前述のマイナス金利政策の中で、日銀は政府発行の国債を大量に買い入れしています。

これには、長期金利(固定金利)を押し下げるという目的があります(※2)

物価上昇の見込みもまだ2%には到達していませんし、しばらくは固定金利(長期金利)も横ばい傾向が続くと予想されます。

金利予測をするなら根本的な仕組みの理解が重要

このように、金利が変わる根本を知っておけば、政府や市場の動きを読み、未来の金利を予測しやすくなります。

予測があたるかどうかは誰にもわかりません。でも、動きや仕組みをっておけば、金利タイプを考えるときにも役立つでしょう。

【参考】
※1公債残高の累積:(財務省)
※2マイナス金利について:「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」(日本銀行)

まとめ

住宅ローンの店頭金利についてご説明してきました。

あらためて記事の重要ポイントをまとめると、以下の通りです。

  • 住宅ローンの金利は「店頭金利( 定価)-優遇幅(割引)=適用金利(実質価格)」という仕組み
  • 金利優遇幅には、「当初優遇」「通期優遇」という2種類のプランがある
  • 固定金利の店頭金利は下降傾向にあるが、変動金利の店頭金利はここ10年間変わっていない
  • 今後の店頭金利は、まだしばらく固定金利・変動金利ともに横ばいだと予想される
住宅ローンの金利は、店頭金利や金利の優遇幅で大きく変わります。
金利についてしっかり理解し、自分に合ったプランを選んでくださいね。

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